身近なあの薬も!? 厚労省が新たに認定した「副作用のある薬30」

全然知らない医者もいる
週刊現代 プロフィール

患者は副作用に気づけない

中身を具体的に見ていこう。降圧剤では、アジルバやノルバスクなどに横紋筋融解症の副作用が1月に追加された。

アジルバはARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)という比較的新しい降圧剤で、副作用も比較的少ないとされている。ノルバスクはカルシウム拮抗薬というタイプの、古典的な降圧剤だ。

横紋筋融解症とは、筋肉細胞が血液中に溶け出してしまい、重症化すると腎臓に負担がかかり腎不全になる症状で、非常に多くの薬でこの副作用が見られる。今のところアジルバやノルバスクでの症例報告は少ないが、注意するに越したことはない。

ラシックスは、降圧作用のある利尿剤で、高血圧症の他にむくみを取るのにも使われ、心性浮腫(うっ血性心不全)、腎性浮腫、肝性浮腫などの治療にも有効。昔からある薬だが、現在も年間93万人が使用する薬だ。

今回報告された副作用は間質性肺炎だ。因果関係が認められた報告例は少ないものの、販売開始から50年以上も経ってから、このように副作用が認められることもある。

リクシアナ、イグザレルト、エリキュースといった抗凝固薬は、どれも比較的新しいタイプの薬だ。心筋梗塞の手術後や脳梗塞の再発予防に使われる、血液をサラサラにする薬である。

これまで同種の薬では、ワーファリンという抗凝固薬が主に使われていたが、頻繁に血液検査をする必要があったため使い勝手が悪かった。また、ワーファリンはビタミンKを摂取すると効果がなくなってしまうので、納豆を食べることができないなど、食事制限もあった。

そこで使い勝手の良い新種の薬として発売されたのがこの3種だ。とりわけイグザレルトは急激に売り上げを伸ばしており、'15年度の売上高は516億円に達している(前年比28・3%増)。

このようなメジャーな薬でも、新しい副作用は次々と見つかる。4月にはイグザレルトに血小板減少、リクシアナやエリキュースには肝機能障害などが追加された(ただしエリキュースの改訂時期は7月)。

 

冒頭でも紹介したリピトールは薬の一般名でいうとアトルバスタチンカルシウム水和物。いわゆるスタチン系といわれる、脂質異常症(高コレステロール血症や高脂血症)の薬だ。他にもリポバス、リバロ、メバロチン、ローコール、クレストールといった薬が、いずれも10月に追加改訂指示を受けている。

これらの薬は非常に多くの日本人に飲まれており、リピトールは年間で360万人、クレストールは542万人も使用患者がいる超メジャー級の薬だ。

新たに加えられたのは、免疫性壊死性ミオパチーと呼ばれる副作用。脱力感、炎症を伴わない筋線維の壊死など、筋肉への障害が見られる副作用である。

脂質異常症薬とミオパチーの関連を示す症例は、実際それほど多くの数が報告されているわけではない。因果関係が否定できないとして紹介されるのは、計1300万人を超える使用患者のうち、2例だけだ。しかし、その数が少ないからといって、副作用を無視していいというわけにはいかない。

このように副作用の症例が認められるには、患者が医者に症状を訴え、製薬会社、厚労省、PMDAと伝言ゲームのように伝わった情報から薬と症状の因果関係が認定される必要がある。

副作用が出ているのに患者が意識しなかったり、医者が薬との関連性に気づかなかった例が無数にあるはずで、実際には数十倍、数百倍の副作用が生じている可能性も高いのだ。薬剤師の宇多川久美子氏が語る。

「患者自身が副作用に気づかないことはよくあります。また、副作用が出る患者のほとんどが、薬を何種類も飲んでいるため、症状と薬の因果関係に気づくことは極めて困難です。そういうケースだと、厚労省へ副作用として報告することは難しく、情報は上がっていきません」

このように、世の中には報告されていない副作用が溢れている。