日本「2大スポーツ」の分岐点〜巨額放映権料の「次の手」は?

クラブW杯視聴率は「26.8%」
二宮 寿朗

“野球に負けたくない”という思い

チャンピオンシップ第2戦で埼玉スタジアムを訪れていたTBSのスポーツ局エグゼクティブプロデューサーの名鏡康夫氏に話を伺うことができた。

――来シーズン、TBSではJリーグが見られないことになりそうですか?

「Jリーグと話し合いをしなければならないが、来シーズンに関しては非常に難しい状況にあるとしか今は言えませんね」

――TBSで生中継されたチャンピオンシップ第1戦の視聴率は7%台でした。この数字に対してはどのような評価を?

「もちろん2ケタを狙っていましたが、昨年とほぼ同じの数字。優勝が決まる第2戦のほうが高くなるのはなかば当然で、昨年と同様に2戦目は2ケタいくんじゃないでしょうか。決して悪い数字ではないと考えています」

――Jリーグを地上波のゴールデンタイムで放送する意味というのは?

「実はそこに一番大きな意味があると思っています。サッカーはプロ野球と並ぶ2大スポーツ。

コアファンのみならず、少しでも多くの人に見てもらいたい。プロ野球の日本シリーズだって近年は視聴率が伸び悩んでいると言われてきましたが、今年の広島カープと北海道日本ハムファイターズのシリーズはおおいに盛り上がって関東地区でも20%近い数字でした。

日本ハムの優勝が決まった第6戦は25%台。多くの人々の関心を呼んだからだと思うし、これも地上波のゴールデンで放送を続けてきたからこそだと考えています」

――今の時期、Jリーグにとって1シーズン制がいいのか、2シーズン制&チャンピオンシップがいいのかはもっと議論が必要だったかなとは僕も思います。地上波のゴールデンタイムで放送する意義というのは、やはり大きいなと感じたので。

「今でも強烈な印象として残っているのがレッズと横浜F・マリノスが対戦した2004年のチャンピオンシップです。Jリーグ立ち上げのバブル時代から苦しい時期を経て、ようやく落ち着いた時期でもありましたよね。

第1戦、日産スタジアムに7万人ほどのお客さんが入って、青と赤がきれいに分かれて壮観でした。視聴率も12%を超え、あのときに日本代表に負けないコンテンツになるんじゃないかという手応えを持つことができたんです。あれ以降、チャンピオンシップは廃止になりましたけど、やる価値はあるんじゃないかと思っていました」

――TBSは93年の初年度以降、ずっとJリーグ中継を続けてきました。もし今年で終わるとなると……。

「野球に負けたくないっていう思いで、ここまでやってきたつもりです。来年(放送が)途切れてしまうことになれば、やはり寂しいですね」

――野球に負けたくない、とは。

「日本の2大スポーツですから、中継制作でも野球に負けないものをつくりたいという思いがありました。ゴールデンタイムになれば、制作費を増やせるためカメラの台数も多くできます。

ソフト面でも、たとえば試合が終わったばかりの選手をピッチでつかまえて一言、インタビューするということもやりました。試合が終わって何を感じたかをダイレクトにしゃべってもらうだけじゃなく、凄く湯気が上がっているんだな、とかそういうことも視聴者の方に感じてもらえたらな、と。

現場の雰囲気、ナマの様子を大切にすることで、サッカーの魅力を多くの視聴者に伝えたいと考えました」

――最後に。Jリーグには今後どうあってほしいと考えていますか?

「これはJリーグに対する批判でも何でもなくて、盛り上げていくには多くの人たちに話題を提供することも大切だということ。プロ野球はJリーグから多くのものを学んで、変化していきましたよね。

地域密着や応援のチャントなどスタジアムの雰囲気づくりも参考にしてきて、ファンを増やしてきました。Jリーグも野球以上にファンをどう増やしていくか、野球に負けないようにどうすべきかをもっと考える必要があるのかなとは個人的には思います」

ファンにはコア層もいればライト層もいる。魅力を伝えてライト層をいかにコア層に引き込み、そしてまた新しいファンを開拓していけるのか。ライト層、新しいファンに届けていくにはどうしていくべきか。

中継制作はカメラを通じてスポーツとファンをつないでいる。名鏡プロデューサーの言葉、そして鹿島の健闘にわいたクラブワールドカップ決勝から「地上波」「ゴールデンタイム」の重要性を学ぶことができる。ダ・ゾーンと大型契約を結んだJリーグの「次の手」が大切になると言える。