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なぜいま中東では「独裁の復活」が起こっているのか?

大混迷の構造を読み解く
末近 浩太 プロフィール
〔PHOTO〕gettyimages

「独裁の復活」という「逆廻し」に特徴づけられた2016年の中東情勢。それは、中東の安定と平和がまだまだ遠いことをあらためて痛感させるものであった。

確かに、核開発疑惑をめぐって対立していたイランと米国との関係が改善に向かったことや、「アラブの春」による政変を経験したチュニジアが順調に民主化への歩を進めていることなど、わずかながらポジティヴな動きもある。

中東ではこうしたポジティヴな動きが拡大していくのか、それとも、「独裁の復活」に彩られた「冬の時代」となるのか。

その展望を描くためには、中東だけでなく、世界の動きにも目配りしなくてはならない。今や「逆廻し」は、中東だけでなく、世界の各地で起こっている。偏狭なナショナリズム、保護貿易、ポピュリズムといった古色悄然(こしょくそうぜん)とした現象が次々に立ち現れている。

これらは、中東の混乱、とりわけ、難民・移民とテロリズムの問題とは無縁ではなく、それゆえに、翻って、中東情勢に少なからず影響を与えることは必須である。

もし中東の混乱がなければ、2016年の世界の姿は違ったものになっただろう。2016年は、「ブリグジット」と「トランプ現象」の嵐が吹き荒れた年でもあった。そして、こうした欧米諸国における国際協調から剥き出しの国益優先への転回(ターン)は、中東の混乱を見過ごすことにつながるだけでなく、あらたな憎悪や暴力を生み出す危険をはらんでいる。

中東、そして、世界の「逆廻し」は、果たしてどこまで行き着くのか。それは、中東と世界をどのように変えていくのか。2017年も引き続き予断を許さない。

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