なぜSMAPだけが「国民的アイドル」になれたのか?

「異端」だった平成の象徴
柴 那典 プロフィール

「今正に僕ら目指していた場所へ辿り着いたんだ」

先日上梓した拙著『ヒットの崩壊』の中でも触れたが、解散危機が報じられた今年初頭から、異例とも言える『世界に一つだけの花』の購買運動が一年を通じて盛り上がった。ファンからはグループ存続を願う署名も届けられた。

それでもなお「ゴールのないところで終わらなければいけない」のが、今のSMAPが立っている位置だ。

だからこそ、ここ数回の『SMAP×SMAP』は、華やかなゴールを印象づけるような演出を行っているのだと思う。

12月11日の放送回では、番組後半の「S-Live」のコーナーにレディー・ガガが出演し、豪華絢爛なセットの中で5人と歌い踊った。そしてタモリが出演した12月19日の放送回では、椎名林檎が「青春の瞬き」をSMAPと共に披露した。彼女が結成したバンド・東京事変の解散ライブのときにアンコールで歌った曲だ。

時よ止まれ 何ひとつ変わってはならないのさ
今正に僕ら目指していた場所へ辿り着いたんだ

こういう歌詞を持つ曲を5人と共に歌ったことは、椎名林檎からSMAPへの、ある種のはなむけだったのだと思う。「ビストロスマップ」の最後にタモリが全員の名前入りの五角形の星形のペーパーウエイトをプレゼントしたのも、とても感慨深い光景だった。

12月26日は番組の最終回が放送される。その内容はまだわからないが、『いいとも!』のグランドフィナーレがそうであったように、テレビ史に残るような一つの象徴になるのではないかと思っている。

「平成」という時代の象徴

それにしても、なぜ、彼らの解散が一年を通じてここまで大きなニュースになったのだろうか。ずっと追ってきたファンはもちろん、そこまで熱狂的に好きではなかった人も含め、いろんな世代の人たちの関心事になったのはどうしてか。

それは、彼らが「平成」という時代の象徴であり続けてきたからだと、筆者は考える。グループの結成は88年。年号が昭和から平成となり、90年代、00年代、10年代と、3つのディケイドにわたって、彼らは国民的アイドルであり続けてきた。

「がんばりましょう」や「オリジナル スマイル」、「夜空ノムコウ」や「世界に一つだけの花」など代表曲の数々を通して、SMAPは時代と向き合ってきた。

沢山のミュージシャンや作詞家、作曲家が彼らに楽曲を提供した。スガシカオ、槇原敬之、椎名林檎など、多くのアーティストにとっても、SMAPに楽曲を提供するのは特別な経験だっただろう。

12月には、数々のSMAP関連書籍が発売されている。太田省一『SMAPと平成ニッポン~不安の時代のエンターテインメント~』(光文社新書)や、中川右介『SMAPと平成』(朝日新書)は、その書名の通りSMAPの歩みを平成史と重ね合わせて語る一冊だ。

その背景には、2016年8月、天皇が生前退位を望むお気持ちを表明し、その数日後にSMAP解散のニュースが報じられた偶然の巡り合わせもある。

編集部からのお知らせ!

関連記事