外国人介護実習生を「国別採点」する受け入れ団体の“上から目線”

この差別意識には、黙っていられない
大塚 智彦 プロフィール

そしてまた、個人の宗教がなぜ「日本の介護施設に受け入れられなければならないのか」という根源的な疑問や矛盾がこの表にはある。

「宗教」に関していえば、ミャンマーやタイが満点評価を得ているが、これは仏教徒が多数であること、そして最低評価のインドネシアはイスラム教徒が多数であることと密接に関係しているものと類推される。もはや「完全な日本人目線による一方的、偏見に満ちた評価」(外務省関係者)といえよう。

その後、共同通信や東京新聞などが「外国実習生を国別に採点 受け入れ団体HP『差別的』批判受け削除」として同組合の一覧表の件を報道したところ、「差別と言われて思い当たることがあった」(共同通信の取材に対して)として、一応は非を認めた格好だ。

 

日本側に求められる姿勢

現在、同組合のHPから一覧表は削除されているが、表に関する説明も弁解も記載されていない。

このため筆者は同組合に対して「一覧表作成の真意」「誰が評価したのか」「いつ頃から実施しているのか」「今後の対応」などを問い合わせた。しかし、質問を受け付けた旨の返信はあったものの、問い合わせへの回答は一切ない。

同組合は会員企業に対して東南アジアからの技能実習生の受け入れ、紹介を業務として2005年8月に設立、高松市の本部のほかに東京、名古屋、大阪、福岡に支部を置いている。

白井代表理事はHP上で「相互扶助の精神のもと、組合員企業の健全な発展に強力寄与することを目的として異業種の協同組合としてスタートした」などとあいさつしているが、そこには企業同士の「相互扶助」しかなく、労働者として働くことになる外国人への配慮は一切見えてこない。

こうした外国人技能実習生の受け入れ、斡旋紹介を業務とする「監理団体」は現在、日本国内に約2100あまり存在し、全国の企業や介護施設などで約21万人が働いている。

外国人労働者を巡っては、これまでにも残業手当の不払い、低賃金過剰労働、宗教的差別、旅券の不法管理など数々の問題点が指摘されてきた。こうしたことなどを背景に法務省や厚生労働省は監理団体の一元管理と人権・法律上問題がある組織の是正のため、新たに「認可法人・外国人技能実習機構」を組織し、来年度の正式発足を目指している。

大手監理団体の職員に話を聞くと、「この新組織の発足すれば、現存する各団体の実態調査がまず実施され、悪質な場合には業務許可を取り消すなどして業界の健全化が進むだろう」と期待を表明した。

しかしその一方で、関係省庁から天下った元官僚がいる監理団体に対しても厳しい実態調査ができるのか、という指摘もでている。

日本で働く東南アジア出身者の多くは、経済的理由から実習生を志すケースが大半であり、今回問題となった「国際事業研究共同組合」の一覧表で図らずも露呈したような「弱者をいたわる奉仕の気持ち」や「日本に対する強いあこがれがあるかどうか」といった日本側が期待する動機を、必ずしも持ち合わせていないのが実情だ。

日本での研修を通じてそういう心境に変化していく事例がないことはないだろうが、「家族や親せきを経済的に援助するために日本を目指す」のが彼ら、彼女らの偽らざる真意である。

今後、日本側には求められるのは、そうしたボタンの掛け違い、価値観の相違、思惑のズレといったものを、きちんと理解することではないだろうか。