気をつけろ!減塩しすぎると「認知症」になる

知らないと寿命が縮む新常識
週刊現代 プロフィール

減塩で死亡率が上がる

厚生労働省は、'15年版の「日本人の食事摂取基準」で、理想的な食塩の摂取量を1日8g未満に設定しており、日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン」は塩分摂取量を「1日6g未満」と定めている。

しかし、この研究に従えば、厚労省や高血圧学会の数字を厳守しようとして減塩を続け、それが少しでも行き過ぎると、むしろ心血管疾患のリスクが増大してしまう。'15年の日本人の平均食塩摂取量は、1日あたり10.0gだが、これ以上無理に減塩を進める必要があるかどうかは疑問だ。

アメリカでは早くから、減塩に対して違和感を表明する声も上がっている。'13年5月、ニューヨーク・タイムズ紙で、同紙の編集委員が、冒頭のIOMの報告を受け、こんなことを書いたのだ。

〈 すべての人々に、1日あたり5.8g以下の減塩生活を続けさせることが、疾患の発症リスクを減らすという事実は、それほど信憑性がないことが示された 〉

〈 かつて心臓発作や脳卒中を減らすために減塩するようにと警告が出されたが、減塩が実際に健康にとって良いという事実はほとんどないことを知って困惑している 〉

前出の小原氏が言う。

「腎障害を有する場合はJ型が見られなかったりと、減塩と疾患リスクの関係についてまだハッキリと結論は出ていませんが、今後の研究によりガイドラインを含めた減塩の定義が変更される可能性はあります」

むしろ、塩分を積極的に摂取したほうが長生きできるのではないかと思わせるデータもある。白澤抗加齢医学研究所の白澤卓二氏が言う。

「'98年、『ランセット』には、こんな論文が発表されています。アメリカに住む25~75歳の約21万人を対象とした調査からデータを得て行われた研究で、食塩の摂取量と患っている病気の関係についての関係を調べました。男性と女性を別々にして、食塩摂取量に応じて4つのグループに分け、様々な病気の罹患率を統計にしたものです。

そこで分かったのは、食塩摂取量が最も少ないグループが、心筋梗塞や脳卒中による死亡率が一番高く、摂取量の最も多かったグループが、一番死亡率が低かったということでした。食塩を摂るほど長生きになる可能性があるのです」

もはや、「1日の食塩の摂取量は6g未満に」という規則を、あらゆる人に守らせようとする「減塩神話」は、足元から崩れた。

そもそも、塩は人間にとってきわめて重要な物質。摂取量を減らすことによる弊害は明らかだ。前出の白澤氏が言う。

「食塩の主要成分であるナトリウムは細胞外液(血液やリンパ液)を構成しています。それがほかの物質と連動することで自律神経を安定させ、心臓の動きを保っています。

塩が不足すると、心臓の動きに問題を起こすのはもちろん、『低ナトリウム血症』という病気があり、ひどい場合には、頭痛や錯乱状態を発したり、昏睡状態に陥ったりする危険性もあります」