気をつけろ!減塩しすぎると「認知症」になる

知らないと寿命が縮む新常識
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人体にはナトリウムが必要

この研究は、1日あたり約7.5~15gの食塩を摂取する人々を基準とした時、それより多い場合にも、少ない場合にも、リスクが高まることを示唆している。

「摂取量の多いグループと少ないグループでともにリスクが上がり、中程度のグループが減っているため、グラフを見ると、アルファベットの『J』のように見える。『Jカーブ』と言われています」(前出・小原氏)

「減らせば減らすほどいい」としてきた従来の説を覆す結果だ。

いったいなぜ塩を減らすことでリスクが上がってしまうのか。ひとつの原因として腎臓でつくられるレニン・アンジオテンシン系が考えられる。前出の小原氏が解説する。

「人間は元来、食肉など自然のものから塩分=ナトリウムを摂取していました。当時、ナトリウムは非常に少なく、それを体に溜める仕組みが発達しました。

それゆえ減塩下で、腎臓のセンサーが『塩分が減っている』と感知すると、ナトリウムを外に逃がさないよう、『レニン』を分泌してアンジオテンシンという物質を活発化させます。活性化されたアンジオテンシンⅡは、動脈硬化や臓器障害を進める作用があるため、減塩でリスクが上がってしまうという仮説です」

そして、食塩と健康リスクについて複数の研究を統合した「メタ論文」では、さらに驚くべき結果が出ている。前出の小原氏が続ける。

「今年の7月、イギリスの医学雑誌『ランセット』に、高血圧のグループと正常な血圧のグループで、それぞれ塩分摂取と心血管疾患のリスクにどんな関係があるかについての論文が掲載されました。

それによれば、高血圧の人にとって、増塩(この研究の場合、約17.5g以上)が疾患のリスクを高めるとともに、減塩(この研究の場合、約7.5g以下)もリスクを高めるとされ、これは、前出の論文の内容を補強するものです。

そして、さらに驚くべきことが明らかになりました。正常な血圧の人にとって、増塩は疾患のリスクを高めないが、一方で減塩はリスクを高めると報告されたのです」

つまり、血圧が正常な人にとっては、塩を多く摂取することよりも、減塩のほうが、問題が大きい可能性があるのだ。