熊本、鳥取、福島沖…なぜ、こんなに「大地震」が頻発するのか?

日本列島で今起きていること
遠田 晋次 プロフィール

そして、「本震」発生当日の16日の午後、私は研究所の同僚とともに地表に現れた断層の前にいました。その後、現地で多くのメディアのインタビューに答え、テレビのスタジオ出演も行い、今回の地震や活断層について解説を行いました。

熊本地震から半年間、その後も一般講演会やメディアの取材を多数受けましたが、やはりまだ活断層や内陸地震の発生のしくみや危険性が的確に伝わっていないと感じています。

なかには、「活断層線が自宅を通っていなければ安心」、逆に「活断層の分布なんて関係ない。日本全国どこでも震度7が起きる」などという誤解もまだまだ根強くあります。今回、熊本地震の発生を受けて、あらためて活断層と地震に関する丁寧な解説が必要だと感じました。

1995年に起きた阪神・淡路大震災では、「活断層」という専門用語が一般にまで浸透しました。内陸大地震の元凶が活断層であることが、社会的に認知されるようになりました。

6434人の犠牲者に報いるために、地震防災の心得や地震に強い町作りなどが進められてきました。その経験は多少なりとも生かされてきたはずですが、まだ不十分だったのでしょう。

活断層や内陸地震を同震災以降に研究してきたものとして、最も残念だったのは、21年前に耳にした「神戸で地震が起こるなんて聞いていない」と同じく、今回も「えっ? 熊本? そんなの聞いていない」というものです。

科学者は研究し、論文を書いて評価されます。研究成果がすぐに社会に役立たなくてもよいですが、少なくとも、地震学や関連学問は防災・減災学を無視すべきではないと考えます。

そのような状況を踏まえて、活断層とは何か、内陸地震はどのように起きるか、そういった問いに応えられるように筆を進めました。

「活断層地震」という言葉は、研究者が使う正式な用語ではありませんが、「活断層によって発生する地震」ということに注目していただくため、あえて書名に用いました。

新書一冊に網羅的にまとめましたので、物足りない読者もいらっしゃるかもしれませんが、まずは本書にて活断層と内陸地震の関係について、大づかみにでもご理解いただければ幸いです。

著者 遠田晋次(とおだ・しんじ)

一九六六年宮崎県生まれ。東北大学災害科学国際研究所教授。理学博士。鹿児島大学理学部卒業、東北大学大学院理学研究科前期博士課程修了、電力中央研究所、同所属中に米国地質調査所(USGS)客員研究員、東京大学地震研究所助手、産業技術総合研究所活断層研究センター研究員、京都大学防災研究所准教授を経て二〇一二年一〇月より現職。専門分野は地震地質学。著書に『連鎖する大地震』(岩波科学ライブラリー)がある。
活断層地震はどこまで予測できるか
日本列島で今起きていること

遠田晋次=著

発行年月日: 2016/12/20
ページ数: 264
シリーズ通巻番号: B1995

定価:本体  960円(税別)

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(前書きおよび著者情報は初版刊行時点のものです)