SMAP「夜空ノムコウ」は“ぼくたち”の歌だった

SMAPが「国民的アイドル」になるまで①
矢野 利裕 プロフィール

だとすれば、ドラマやヴァラエティ番組を通じて同世代から圧倒的支持を得ていたSMAPが、「あれからぼくたちは」と「ぼくたち」と一緒だと語りかけ、何か信じられるものがあったんだろうかと歌うことには、大きな世代的意味があった。

ロストジェネレーションが20代なかばから後半を迎えた1998年という時期、「夜空ノムコウ」は、長い長い不況に突入した日本社会のBGMとして流れていた。

これまでのジャニーズアイドルとかなり異なるあり方を見せたSMAP自体、ジャニーズにおける「ロストジェネレーション」だったのかもしれない。

バブルの雰囲気とともにあったこれまでのゴージャスなジャニーズ音楽から、リアリスティックなクラブミュージックを取り込み、音楽通からも評価を得たSMAPの楽曲へ。華やかな非日常のアイドルから、現実的な日常性のあるアイドルへ。

時代の変化をジャニーズ内で感じ取っていたのが、他ならぬSMAPだった。

 

あのころの未来

「夜空ノムコウ」ではさらに、「あのころの未来」にぼくたちはいるのだろうかと歌われる。デビュー前のSMAPが描いた「あのころの未来」には、彼らは必ずしも立っていないのかもしれない。

少年隊や光GENJIのようにきらびやかな衣装を着て歌い踊ることよりも、身近でカジュアルなアイドル像を新たに作り上げたSMAP。

社会全体の気分と等身大の若者の気分が交叉した地点で、SMAP初のミリオンセラーは生まれたのだ。

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