上司と部下が肝胆相照らす仲になると、こんな「不幸」が待っている

島地勝彦×田中知二【第1回】
島地 勝彦 プロフィール

シマジ このトモジを嫌いだというやつがいるんだね。どういうやつなんだ。

トモジ やっぱり異動させたやつですかね。

シマジ タッチャンなんて20歳のときからフリーでブイブイ仕事をしていたから、会社組織の面倒臭さなんて知らないでしょう。

立木 偉そうに。

シマジ タッチャンは徳島の有名写真館に生まれたから、物心ついたころにはもうカメラを持っていたんだよ。

立木 もうそんなウソはやめなさい。トモジだって長い間シマジのウソを聞いてきてうんざりしているんだから。そうだろう、トモジ。1度も聞いたことのない話なんて、もうないだろう。

トモジ ないですね。昨日のメシはなにを喰ったか、ぐらいです。

シマジ お前の引退パーティーに出て思ったことは、この男は誰にも恨まれていないんだろうな、と。だから週刊プレイボーイ編集長になっても100万部に戻せなかったんだろうなと、ふと思ったんだ。

立木 それはシマジのせいじゃないの。時代がそうさせただけなの。それに間に合っただけなの。お前はいくらいってもわからないんだな。

シマジ では今日のネスプレッソは毎年年末に数量限定で出すフレーバーコーヒーです。今年はオーストリアの伝統的なお菓子からインスピレーションを得て作られた、豊かで濃厚な味わいが特徴のフレーバーコーヒーで、その名も「ザッハトルテ」というんだよ。ヒノ、淹れてくれるか。

ヒノ 承知しました。

シマジ このネスプレッソマシンとザッハトルテのカプセルが謝礼としてそのうちトモジの自宅に送られてくるよ。

トモジ えっ、いただけるんですか? 嬉しいっす。

立木 じゃあ、シマジとトモジ、コーヒーカップを高く上げてレンズをみてくれ。トモジ、もっと笑え。表情が硬すぎる。

<カシャッ、カシャッ、カシャッ、カシャッ>

はい、サンキュー。

トモジ 立木先生に4回もシャッターを押してもらっちゃってすみません。わたしなんか1回でいいんですよ。

立木 1回じゃ撮れないよ。ここは狭いし、まるでゴミ屋敷みたいにガラクタだらけだろう。シマジは飾るだけ飾って片づけるってことがまったく出来ない男だからね。

ヒノ たしかに物がどんどん増える一方ですね。

立木 ヒノ、もうそろそろ場所を変えてどこか広いところでやろうぜ。

シマジ 考えておきましょう。

トモジ いつもこの連載をみていてどうしてこの部屋があんなに広く写っているんだろうと前から疑問に思っていたんですが、やっぱり立木先生のマジックだったんですね。

立木 当り前だ。よし、あとは勝手しゃべってくれ。トモジ、狭い部屋のなかを動き周りながら撮影するのは大変なんだぞ。

シマジ トモジはおれと同じで集英社には25歳で入社したんだろう。

トモジ いや、24歳でした。10月の誕生日で25歳になりましたが。

シマジ お前は上野公園で鳩に豆をやって青春を過ごしていたといっていたね。

ヒノ 本当に鳩に豆をやっていたんですか? なぜ?

トモジ 豆をやっていたというのはシマジさん独特のレトリックなんですが、予備校も2年目になると授業に行きたくなくなるでしょ。

おれの実家は茨城の古河でしたから、まず上野に出て、そこから山手線に乗って秋葉原で乗り換えてお茶の水の駿台予備校まで通っていたんですが、上野駅で途中下車してよく上野公園のベンチで本を読んでいたんですよ。そしたら「きみ、自衛隊に入らないか」って声をかけられましたね。

シマジ トモジはガタイがいいから目をつけられたんだね。

トモジ あのころは街を歩いていると、よく自衛隊に入れられた時代でしたよね。

シマジ へえ、お前は一流予備校の出身だったのか。はじめて知った。

トモジ 学歴的には駿台予備校が偏差値がいちばん高かったかもしれません。

シマジ もうそんな必要はないけれど、履歴書に「駿台予備校」と書いたほうがよかったんじゃないか。

トモジ 最終学歴が駿台予備校ね。

ヒノ 早稲田はなかったことにして。