今期国会での「カジノ法案」の成立に向けて、自民党と野党が激しい攻防を繰り広げている。
11月30日、カジノを中心とする統合型リゾート施設(IR)整備法案が、衆院内閣委員会で審議入りした。このいわゆる「カジノ法案」は、'15年に自民党などの議員立法によって法案提出されたが、「継続審議」として今国会まで審議を見送られたものである。
この法案がなかなか審議入りできなかったのは、民進・共産両野党からの批判が強く上がっていたからだ。議員立法の成立は全会一致が原則で、野党からの合意が不可欠。しかし今回、自民党は半ば強硬的に審議入りに踏みきった。
成長戦略の一つとして、IR施設の整備は不可欠と捉える向きがある一方で、「カジノ」への悪いイメージを払拭できない人もいる。実際のところ、「公営カジノ」の整備は日本にどれほどのメリットがあるのか。
自民党がカジノ法案の成立を急ぐのは、'20年の東京五輪にIR施設の完成を間に合わせたいという思惑がある。外国人観光客の増加が見込め、大きな経済効果が期待できるからだ。
世界では140ヵ国でカジノが「公営ギャンブル」として認められているため、カジノに慣れ親しんだ外国人観光客のためにカジノを作ることは自民党の「好判断」といえる。
マスコミも報道では経済効果を強調しているが、実はそれ以前に、ギャンブルを街中から「隔離」できるメリットがあることが重要だ。国がギャンブルを管理することで、社会全体の「健全化」が期待できる。