“ぶっ壊し屋”トランプ勝利は本当に「エリートの敗北」だったのか

プラグマティズムから読み解く
小川 仁志 プロフィール

どんな候補者が選ばれても問題が起きないのは、プラグマティズムが実を取ろうとして、過激な行いを制御するように機能するからである。それは勝利が決まってからのトランプの豹変ぶりを見れば明らかであろう。あれだけ非難していた女性やマイノリティさえも重要なポストに登用する柔軟さ。

考えてみれば、彼は有能な経営者だ。実をとるためにうまくやるに決まっている。彼もまたプラグマティズムの体現者なのである。

その意味で、アメリカ人は私たちが考えている以上にしたたかである。筋を通すために不器用に振る舞う義理人情好きの日本人とは大違いなのだ。

 

私たちはついつい自分たちの思想だけを物差しにして事態をとらえがちなので、あたかもトランプが今後もあの大統領選の勢いのままに振る舞うのではないかと過剰に恐れてしまう傾向にある。

しかし、それではアメリカという国を読み誤ることになる。このグローバル社会において、正しく世界を見、正しく振る舞っていくために、政治哲学が求められるゆえんである。