破滅的トラブルは5年後に襲ってくる!「インプラント手術」にご用心

ヘタなのにやりたがる…
週刊現代 プロフィール

高血圧の人は特に危ない

ことに女性の場合は、見た目の美しさを求めるため、リスクがあろうともインプラントを選択する人も少なくない。

だが若い人以上に「今、高齢者のインプラントが大きな問題となっている」と危惧するのは、前出の春日井氏だ。

「インプラントを維持するには、適切なメンテナンスが必要です。手入れができていないとインプラント周囲炎になる可能性が高い。ところが高齢者の場合、寝たきりや要介護になるなど、自分で手入れができない状況になる可能性があります。そうなった場合、介護スタッフや介護施設職員の方がケアに当たらなければならなくなりますが、インプラントのケアの仕方がちゃんとわかっている人は決して多くない。

そのため、私はできるだけネジで止めるようなスクリュータイプのインプラントをすすめています。通常のインプラントのほうが見栄えは綺麗ですが、ネジ型なら脱着が可能なので手入れもしやすく、歯茎のコントロールができますから」

年齢を重ねるごとに歯は摩耗していく。本来の自分の歯であれば、上の歯が擦り減ったら、下の歯も同じように減るので、噛みあわせが狂うこともない。だが、自分の歯とインプラントが混在しているとそうはいかない。バランスが悪くなって、できた隙間から歯周病などの感染症にかかる危険性も高くなる。

感染症を防ぐためにも、定期的なメンテナンスはかかせない。ところが一部のクリニックでは、メンテナンスではたいした儲けにならないため、「(インプラントを)入れたら入れっぱなし」という歯科医も少なくない。

もう一つ、60歳を過ぎたら注意すべきなのが「既往症」の問題だ。

「60代以上になると、高血圧や糖尿など、何かしらの病気に罹っている人は多いですよね。高血圧の人にインプラント手術をすると、麻酔や手術の影響で血圧が急激に上下し、脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まります。糖尿病の場合は、細菌の侵入に対して抵抗力が弱くなるので、特に感染症に注意しなくてはならない。高脂血症のため血液をサラサラにする抗血栓薬を飲んでいたら、手術のやり方を変えなくてはならないときもあります。

また骨粗鬆症の治療薬である『ビスフォスフォネート』は顎骨壊死の副作用があるので、インプラントとの相性がよくない。こうした既往症や服薬をよく確かめずに治療しようとする歯科医には要注意です」(前出の春日井氏)

抜いた歯は二度と元には戻らない—インプラントは「手術」であることを忘れずに、少しでも不安があればセカンドオピニオンをとるなどして、慎重に決断してほしい。