山口組・顧問弁護士が明かす「地盤沈下するヤクザの歴史と最前線」

絶対に抗争はするな!
山之内 幸夫 プロフィール

―そんな暴力団員に対して、比較的「温かい」眼差しを向けているのはなぜでしょう。

それは、かつてのヤクザのほとんどが恵まれない家庭に育ったというハンディキャップを抱えていたからだと思います。親の愛情を十分に受けなかった子供たちが、貧乏な家庭環境に育ち、ヤクザの世界に身を投じることが多かった。

正業で生きていけるならヤクザをやる意味はありません。まともな経済社会から弾き出され、八方塞がりになっているからこそ、ヤクザになった。

山口組三代目・田岡一雄組長は、山口組を「愛情に乏しい寂しがり屋が助け合って生活する集まりや」と言っています。私はこんなヤクザ社会への興味が強くて、山口組の顧問弁護士にまでなったのです。

―とはいえ、彼らは最終的には暴力に訴えるような存在です。身近で付き合っていて、怖くはありませんでしたか。

全然(笑)。ヤクザは外に出たら舐められないようにビシっとしないといけませんが、私の前ではカッコつけても仕方がないですしね。

 

ただ、ヤクザが肝に銘じないといけないのが、あくまで国家権力のお目こぼしの中で生かされているということです。ヤクザを潰そうと思ったら簡単なんです。国のほうも完全にヤクザを潰して、犯罪組織を地下に沈めようとは考えていないだけ。浮かしておくほうが、管理しやすいですからね。

でも、今回の分裂から激しい抗争が起こると、権力からのさらなる厳しい介入がありますよ。

―分裂した双方の暴力団関係者から注目される一冊ですが、伝えたいメッセージは何でしょう。

それは、絶対に抗争はするな、ということです。まず分裂の原因をお互いよく考えて、相手側を殺さないといけないほどのものなのか冷静に考えてほしい。一日でも平穏な状態が続けば、いずれ二つの山口組は再合流するのではないでしょうか。

(取材/今西憲之)

週刊現代』2016年12月10日号より