アサヒビールがシェアNo.1を守り続けられる理由

「もぎたて」も大ヒット!
週刊現代 プロフィール

百年構想

歴史が好きです。若い頃は信長の革新性に憧れましたが、今は家康に共感します。最近読んだ『家康、江戸を建てる』という小説によると、彼は秀吉から関東八州への国替えを打診された時点で、石高が約束通りの240万石はないことも、干潟を埋め立てれば240万石以上の豊かな国になることも知っていたようです。

そして、戦で功名をあげた武将でなく、当時は一段低く見られていた官僚肌の人間を抜擢して干拓と治水事業を任せました。

このように、家康は情報収集や人材の抜擢が上手く、しかも、天下をとったあとの政権構想、長期ビジョンも持っていました。のちに、豊臣家を破ったのは必然だったのかもしれません。

積み重ね

今後の目標はずばり「全カテゴリーでナンバーワンを目指す」です。そのために当社は、技術力を高め、人材を育てていく、まっすぐな戦略をとります。

技術力でいえば、例えばビールの香りの成分を分析する機械は当社が最先端。根っこにある技術力が高いから、味が良いものができるのです。

マイナス2度に冷やした「スーパードライエクストラコールド」の機材を開発した研究部門は、以前、包装を担当する地味な部署と言われていました。でも今は、商品が売れ、自信が漲り、どんどん新たな機材を出してきます。

このような地道な積み重ねが、業績に反映されるのです。だからこれからも、私は各支店や工場を駆け回って全社を鼓舞し続けますよ。ただ、私は自分のことを「カリスマ」ではないと思っています。若いころから、相手の反応を見ながらきちんと話してきた積み重ねがあるだけのことではないでしょうか。

(取材・文/夏目幸明)

平野伸一(ひらの・しんいち)
'56年、広島県生まれ。早稲田大学教育学部を卒業し、'79年にアサヒビールへ入社。営業、人事、経営企画部門などで実績を残し、'08年に執行役員埼玉支社長に就任。'11年に常務取締役営業統括本部長、'13年に専務取締役、'15年に取締役副社長、'16年に代表取締役社長へ就任、以来現職

週刊現代』2016年12月3日号より