飛び抜けて高い死亡率…平尾誠二、川島なお美を襲った「がん」の正体

手術も治療法も確立されていない
週刊現代 プロフィール

このように次から次へと有名人の命を奪っていった胆管がん。胆管は普段の生活であまり意識する部位ではないため、なんとなくマイナーながんのように見なされがちだが、実は意外に死亡者数の多い病だ。

がん研有明病院の肝胆膵外科部長、齋浦明夫氏が語る。

「胆管がんの患者は欧米に少なく、アジアに多い傾向があります。日本では、胆嚢・胆管がんで年間2万人弱の患者さんが亡くなっています。死亡者数でいうと、肺、大腸、胃、膵臓、肝臓に次いで6番目に多いのです」

一般に認識されている以上に多くの命を奪っている病気なのだ。それにもかかわらず、胆管がんに関する研究は進んでおらず、手術、治療法も確立されていない。日本胆道がん患者会の代表、眞島喜幸氏が語る。

「難治性のがんの中でも胆嚢・胆管がんの死亡率の高さはとびぬけており、もっと多くの人に知ってもらいたいがんです。アメリカでもようやく5年前に患者会が組織されたばかりで、国内では私たちの団体が唯一、啓発活動を行っています。

発見されたときには、すでに手の施しようもない状況であることが多いがんですが、いまだに臨床試験の件数も少なく、予算規模も潤沢とは言えません。

 

胆管がんを患っても患者が必要としている適切な治療法が選択できない、抗がん剤が少ないためがん難民になりやすいという深刻な状況に置かれているのです」

これほど多くの人の命を奪っているにもかかわらず、いまだ知られざるがんとしてヴェールに包まれている胆管がん。実際にはどのように難しい病気なのだろうか。

検査では見つからない

昨年、父親を胆管がんで亡くした原口憲治さん(仮名、45歳)が語る。

「64歳でがんが見つかるまでは、病気らしい病気もしたことがなく、極めて元気で健康的な身体でした。血圧が少し高めでしたが、薬も飲んでいませんでしたね。建築設計の仕事をしており、ずっと現役で働いていた。

がんが見つかったきっかけは、父が友人たちと温泉旅行に行った時のことでした。白い便が出たということで、近くの医者に行ったところ、すぐに総合病院に向かうように言われて、そこで『即入院』と言い渡された」

家族にはメールで「今から入院することになった」と連絡があった。

「あまりに突然のことでびっくりしました。その時点では、まさか難治性のがんだとは思いもよらなかった」(原口さん)

実際、当初は担当医からがんである可能性は指摘されなかった。入院してから血液検査や画像診断、内視鏡を使ったERCP(内視鏡的逆行性胆道膵管造影)などを行って、ようやくがんと診断された。入院して10日目のことだった。

このように胆管がんが見つかるのは、突然のことがほとんどだ。今まで自分ががんになるとは露も思わず、穏やかな日常生活を送ってきたのに、ある日突然、死の可能性が告げられる。

「がんには治せるものと、治せないものがあります。後者はいわば『運命のがん』です。見つかった時点で、ほぼ助からない。患者さんにはその過酷な運命を受け入れてもらうしかありません。こういうとき、医学はいくら進歩しても限界があるものだと、無力感に苛まれます」(消化器外科医)

胆管がんの原因については、まだまだ分かっていないのが現状だ。佐野病院消化器がんセンター長の小髙雅人氏が語る。

「例えば、膵臓と胆管の合流異常といわれる『膵胆管合流異常』がありますが、これを患うと比較的胆管がんになりやすいと言われています。また、煙草は因果関係があるのではないかと言われている。ただこれも確定しているわけではありません。

お酒は、膵炎等の原因になりますので関連性があり得るとは思いますが、確実にリスクファクターになり得るのかどうかは不明です」

胆管がんの発見が遅れがちなのは、どうしてなのか?