「世界一リスクを取るアナリスト」はトランプ以後の経済をこう見る

日本経済に30年越しの大転換が来る!
藤岡 雅 プロフィール

金融機関「復活ののろし」

確かに住宅ローンの金利は高くなる。ある人は、急に月々のローンの支払いが増えたと困惑するかもしれない。またある人は多くの庶民が高金利に苦しんで、都心から遥か彼方の郊外に家を買ったバブル時代を思い起こすかもしれない。

しかも金利上昇は株価にはネガティブな影響を与えやすい。結局、日本経済はまたダメになると考える人も多いかもしれません。

しかし、金利上昇局面は「経済が順調に推移するからこそ起こることなのだ」という基本に立ち返るべき時です。

具体的に見て行きましょう。

 

まず金利上昇は安定運用をもたらします。債券で利ザヤが確実に稼げるので、まず銀行の収益が拡大する。マイナス金利で死に体となっている地銀にとってはまさに復活の〝のろし″となるのです。また生損保なども安定運用が実現することになる。

経済の中枢を担う金融機関が金利上昇の流れにうまく乗り、低金利にあぐらをかいていた企業が投資の増加を背景にして資金調達をまじめに考えることで、これまで低迷していた法人向け融資も回り出すことにもなる。「雇用増or賃金上昇」→「消費増」→「設備投資」→「融資拡大」という民間の好循環を生み出す要因になるでしょう。

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また金利上昇で資金調達コストが跳ね上がることは、借入れが多い不動産業界にとってはネガティブに見えます。

しかし、おそらく業界は景気が上向く恩恵の方を強く享受するでしょう。インフレによる収益改善が景気を刺激して、オフィスの空室率低下・賃料上昇につながれば、金利上昇の影響をはね返して不動産業界の収益改善につながるからです。

そう、金利上昇は日本経済の根幹を支える業界に良い刺激を与えることにつながるのです。そこから景気循環が始まると考えれば、金利上昇は実に明るい兆しなのだということなのです。

しかも我々庶民も、金利上昇で受ける恩恵は多いのです。これまでほとんどゼロだった銀行の預金金利が上がります。債券利回りも上がるので資産運用が正常化し、運用の安定性がもたらされる。

株式投資で大損を出したと話題になっている年金だって、債券の利回りが高くなれば将来の安定運用の可能性を高められる。住宅ローンが上がる一方で、金利上昇が家計を助ける部分にも着目すべきです。

日本株はどうなる?

さて、私はファンドマネージャーなので、こうした金利上昇局面に突入したことで日本株はどうなるのか、直近の情勢を加味して説明しておきましょう。

トランプ氏が米大統領に決まったことは、日本株に大きな恩恵をもたらします。先ほど、金利上昇は株価にはネガティブといいましたが、このセオリーは今現在、当てはまりません。なぜなら、日本株はいま、最高のポジションにいるからです。

その理由は三つあります。ひとつは、12月行われる見通しの米・FRBの利上げです。アメリカが利上げをすると、米債券を買おうと世界のマネーはアメリカに向っていき、ドル高=円安になります。アメリカへの輸出の多い日本企業の株価は当然、上向いていく。

次に、日本株の「出遅れ」です。今年、アルゼンチンやブラジルなどの株は年初から約4割も上がっていますが、今後、こうした新興国株は通貨安で売られる可能性があります。一方で日本は昨年末比で5%前後低い水準にある。現在、外国人投資家は日本株を十分に買っていません。

そして、政治的安定性です。小泉政権の後、10年もの長い間、政治が混乱していましたが、日本はいま、先進国の中でも1、2位を争う政治安定国です。

円安と他国の株価に対する出遅れ。そして政治的安定性。当然、世界の投資家は日本に資金を投入していくことを真剣に考える。つまり今後、日本株は上昇加速する可能性が高いのです。