男が熱く燃える「最高の刑事ドラマ」ベスト10

『西部警察』『相棒』は何位?
石野 憲助, 岩佐 陽一

命がけの撮影現場

岩佐 派手なカーアクションにガンアクション、そして迫力ある爆破シーンで人気をさらいましたが、撮影現場は危険だったと聞きます。

石野 俳優さんたちはもちろん、スタッフも命がけでした。湖で船を爆破するシーンがあったんですが、大破した船をそのまま湖に沈めるのを地元の漁協が認めてくれなかったので、消火して湖岸まで引いて来なければならなかった。だから撮影は、これから爆破する船にスタッフを消火のために乗せた状態で行われたんです。

火薬の量なんかも経験則で調整するしかないから、下手したらスタッフは船ごと吹っ飛ばされる可能性もあった。

岩佐 『西部警察』は今の刑事ドラマに比べると石原プロが資金を調達したりして番組製作費が潤沢だったからスケールが大きい撮影もできたのでしょうね。『西部警察』と同時期に同じテレビ朝日で放送された『特捜最前線』も人気がありました。

石野 『西部警察』とは違う王道の人情路線のドラマだった。日活出身の二谷英明さん主演で、『仮面ライダー』や『秘密戦隊ゴレンジャー』など特撮ヒーロー作品に出ていた役者が多かったのに、派手な銃撃シーンなどはほとんどなく、最後は犯人を説得してガチャッと手錠をかけて事件を解決する。刑事のドラマと犯人側のドラマがうまく噛み合った作品でしたね。

岩佐 こうした日本の人情ドラマと一線を画し、『ダーティハリー』などのアメリカの刑事モノを参考に作られたハードボイルド作品『Gメン'75』も忘れられません。

石野 『キイハンター』からのスタイリッシュなドラマの流れをシリアスにして成功したね。

岩佐 異色作では勝新太郎さん監督・主演の『警視‐K』。勝さんが「刑事の会話がはっきり聞こえたらまずいだろう、犯人に筒抜けになるし」とリアリティを追求するあまり、撮影の際ピンマイクや集音マイクも使わず、最低限の録音機材だけ。そのため第1話放送後に「セリフが全く聞こえない」と視聴者からのクレームがすごかったくらい。

石野 それも一つの個性。記憶に残る名作の登場をこれからも期待したいですね。

石野憲助(いしの・けんすけ)
'36年岡山県生まれ。映画、テレビプロデューサー。'75年石原プロ入社('90年に独立)。『西部警察』、『大都会』などヒット作を手がける
岩佐陽一(いわさ・よういち)
'67年神奈川県生まれ。テレビドラマから特撮、アイドルまで幅広い分野でライターとして活躍。著書に『昭和特撮大全』などがある

週刊現代』2016年12月3日号より