中学生の僕は、カフカの『変身』を読んで社会の不条理を「信頼」した

ジャーナリスト堀潤さんが選ぶ「最高の10冊」

堀潤さんのベスト10冊

第1位『変身
カフカ著 高橋義孝訳 新潮文庫 320円
夢から醒めると自分の体が虫になっていた。異常な状況にもかかわらず『日常』は進行する。多様な解釈を生む名作

第2位『雨ニモマケズ 宮沢賢治童話全集 12
宮沢賢治著 岩崎書店 1980円
「『銀河鉄道の夜』などのファンタジー作品より、迷っても愚直に進めばいいと背を押してくれるこの詩が好きです」

 

第3位『死者の奢り・飼育
大江健三郎著 新潮文庫 550円
大学の死体処理室でアルバイトをする大学生が「死骸が漂う水槽」に囲まれた空間で朧げな自己や死者と向き合う

第4位『日本の思想
丸山真男著 岩波新書 740円
近代と封建、個人と社会、大衆と統治者など、現代にも通じる日本政治思想史の大著

第5位『斜陽 他一篇
太宰治著 岩波文庫 500円
「成功者より斜陽族の物語のほうが安心します。本書には堕落に身を任せる快感がある」

第6位『蜘蛛の糸・杜子春
芥川龍之介著 新潮文庫 320円
「世界に単純な救いはない。持つ者、持たざる者の分断について考えさせられる小説」

第7位『蟹工船・党生活者
小林多喜二著 新潮文庫 400円
「就職氷河期、派遣切りに直面した世代として連帯の必要性と、危うさを感じる一冊」

第8位『リトル・ピープルの時代
宇野常寛著 幻冬舎文庫 840円
「同世代の批評家として尊敬。宇野さんのいう『集える場』作りは自分のテーマでもある」

第9位『陰翳礼讃
谷崎潤一郎著 中公文庫 476円
「暗闇の中で育まれる文化とは何か。見えないものへの想像力は今こそ求められている」

第10位『A
森達也著 角川文庫 629円
オウム事件のドキュメンタリー映画を制作する過程で見えてきた社会の思考停止を問う

週刊現代』2016年12月3日号より