山本美憂・総合格闘技「参戦の真相」~榊原マジックとは一体何なのか

【最強さんいらっしゃい】第4回
細田 マサシ

沖縄に永住!?

──それでこのまま君臨し続けるかと思った矢先に、最初の結婚をしたのが95年、それが最初の引退。
美憂 やっぱり、早くからレスリングをやっていただけあって、それなりの成績も残せたんで。やめるときは満足しているんですよ。「もうやるだけのことはやったな」って。でもそのうち「あ、またやりたいな」って思って復帰しちゃう。私の人生はそれを繰り返してるんですね。それに、私が二十代の頃は女子レスリングが五輪競技ではなかったですから。思えばこれは大きかったです。

──先駆者の悲劇ですよね。本来なら美憂選手こそが日本代表としてしかるべき存在だったと思います。
美憂 だから、アテネのときは、なんとか出場権を獲りに行こうと遮二無二やったんですけど、届かなかった。タイミングですかね……。もちろん私がレスリングを始めた頃と比較にならないくらい選手層が厚くなったということもありますが。

──そこに歴史の皮肉を感じるんですよ。明らかに日本の女子レスリングを牽引してきたのは美憂選手です。ちなみに3度目の復帰後の2011年の全日本選手権では、登坂絵莉選手、2012年の全日本選抜では川井梨紗子選手と、二人のリオ五輪の金メダリストとも試合していたりして(※いずれも敗退)、美憂選手は、世代を超えた選手、という感じがありますね。
美憂 でしたっけ(苦笑)。でも、それもすべてタイミングかなあって。とはいえ42になってMMAをやることになるとは思わなかった。だって20歳くらいの頃って、30歳でも年上に見えるし、ましてや40歳なんて相当な上ですよね。でも、いざ40歳になってみると「意外と動けるな」って思ったりして。

──それで、カナダ国籍まで移しての五輪挑戦だったわけですもんね。それくらい山本家としては、五輪出場というのは大きなテーマかと思うんです。山本姉妹、伊調姉妹、坂本姉妹と、かつての女子レスリングトップ3姉妹の中で、そのパイオニアでありながら唯一五輪出場を逃しているわけでして。
美憂 だから、アーセンは今はMMAをやっていますけど、もし五輪を目指したくなったら目指せばいいと思う。そこは自由です。彼はまだ20なんで、総合かレスリングかと一つのジャンルに決める年齢でもないって思っています。本人が本当にやりたいことを追求すればいいでしょう。それもある意味強さなんじゃないかなって思うし。

──美憂さんも、MMAやりながらレスリングの試合に出るなんてことも?
美憂 いやいやいや……あ、でもそういえば弟がこの前「総合の練習をやりながら、たまにレスリングの試合に出ると案外楽しめるよ」って言っていましたね。だから五輪予選とかそういうレベルではなくて、もっと軽い気持ちで、フラッと出てみるのはアリかなって思います。もともとレスリングは自分のベースですからね。

──ところで、年末も試合が決まりましたね。相手はアンディ・ウィンというアメリカの選手。また打撃系の選手です。
美憂 ……なんかね、私とキャラが被ってるんですよ、ヤンママ系っていうのかな(苦笑)。でも、絶対次は勝ちます。とにかく眼の前の試合をこなすのが大目標。

──年末に向けて、沖縄で特訓を積んでいるとのことですが。
美憂 そうなんです!私、沖縄出身みたいな顔してますけど、実は人生初沖縄で(笑)。ボクシング元世界王者の平仲明信会長のジムで練習させていただいているんですよ。そしたら、まあ、はまっちゃって! 今やジムの寮に住んでます。子供も沖縄に転校させて。

──それくらい水が合ったんですね。
美憂 そうなんです。沖縄という土地柄もそうなんですけど、平仲会長もただパンチを教えてくれるんじゃなくて、タックルを活かすイメージで教えて下さったりとか、本当にお世話になっています。有難いですよね。それに若いボクサーとの練習も気合入るし、新たな「家族」って感じもします。

──それは余計にやる気出ちゃいますね。
美憂 出ますよお! ちなみに、平仲ジムの新春興行が来年の1月8日にあるんですね。だから、私が年末にきっちり勝って、ジムのみんなにつなげたいなって思ってます。そうして「魂のリレー」を完成させたいですね。

──沖縄にはいつまで滞在の予定なんでしょう?
美憂 いつまでだろう……いや、おそらく、来年末もいると思います。だから二人の子供もカナダから沖縄に転籍させて、今はインターナショナルスクールに通わせているんです。

──あ、じゃあもう、本当に長期滞在になる可能性もあるんですね。
美憂 それはあります。始めたばかりの頃のレスリングに感じたように「いかに自分に合うか」というのが一番重要なことだと思っています。最強を目指すとは、自分に合うか合わないかを見極める、ということでもあると思うし、すべての基本であるような気がしています。

今は沖縄という恵まれた環境の中で、ベストな練習を尽くす。そしてMMAという新たな闘いの場で大きく踏み出していきたい。そんなふうに思っています。

「RIZIN FIGHTING WORLD GP 2016 無差別級トーナメント 2ndROUND/FinalROUND」
◯開催日時
2016年12月29日(木)13:30開場/15:00開始
2016年12月31日(土)13:30開場/15:00開始
◯会場/さいたまスーパーアリーナ
◯主催/RIZIN FIGHTING FEDERATION
◯特別協賛/株式会社Cygames
◯協力/さいたまスーパーアリーナ、フジテレビジョン
※チケット販売中。詳細はこちらからご確認ください。
http://jp.rizinff.com/_ct/17006452