「ツイッター危うし」は本当か?決算資料の数字からわかること

実はそんなにヤバくない
大熊 将八 プロフィール

Twitterの生命線はココ

買収の件数自体は48件と、Facebookの63件に迫る勢いだ。

その中でも最大のユーザー数を誇ったのが、6秒以内で動画をつなげてアップロードするSNSであるVineだ。動画の「自撮り」によるコミュニケーションという潮流にも乗り、月間ユーザーが1億人に達することもあったが、なんとTwitterはリストラにともなう自社資源の集中のため、Vineをサービス停止すると発表してしまった。これは、あまりに性急な判断だったのではないか。

そんなTwitter社にも、あと2つ、有望な買収企業が残されている。

【PHOTO】gettyimages

1つは、InstagramなどのSNSのインフルエンサーと、SNS上でマーケティングを行いたい企業とをマッチングする事業を行うNicheだ。

今や、SNS上には様々な分野で何万人・何十万人とフォロワーを持つ有名人が多数おり、企業にとっては商品やイベントを彼らに宣伝してもらえるかどうかは、売上に直結する重要事項だ。今後も類似のSNSが乱立することを見越せば、業界大手のNicheの需要は伸び続けるだろう。

 

ただ、名前の通り、ニッチなサービスのため、Twitterの経営難をNicheだけで立て直すのは難しいかもしれない。Googleが後発で類似企業を買収したため、これからは競争も激化してきそうだ。

もう1つの本命がPeriscopeだ。これは、スマホを使ってワンタッチで24時間動画配信ができるプラットフォームである。日本でいえばツイキャスなどに近い。Facebookと買収を争い、競り勝って手に入れたサービスでもある。2015年3月に出来てから、1年半ほどですでに1000万以上のダウンロード数を誇る。

世界中の耳目を集めた今回の米国大統領選では、Facebookは各メディアの動画配信のプラットフォームとなっていた。ライブ動画配信は、いま最もアツい分野だ。Periscopeはその中心になるポテンシャルを秘めている。動画配信においては「実況」が成否のカギを握るのだが、Perisocpeと連動しているTwitterは一番実況に向いているツールだからだ。

「天空の城ラピュタ」のテレビ放映時に、「バルス」とこぞって同時につぶやく人がいたのを覚えているだろう。これが動画になると、さらに楽しみ方の幅が広がる。

昨年にはPeriscopeを使ってボクシングのプレミアム放送を現地の多数のユーザーが無断で生中継したことが問題となったが、今年は正式にTwitter社が許可をとった上で、NFLの試合をPeriscopeで中継することが決まっている。ジャーナリストが暴動の現場をPeriscopeで中継し、Twitterを介して多くのユーザーが中継を閲覧した事例もある(http://toyokeizai.net/articles/-/71421)。

米国大統領選においても、それぞれの候補者の集会の様子を実況するなど、最も生の声を伝えられていたのはPeriscopeであった。1億人のユーザーを抱えるVineを見捨てることはあっても、Twitterは自身の生命線であるPeriscopeのことはこれからも重宝するだろう。

実はそんなにヤバくない?

最後に、財務面からTwitter社の体力を見ておこう。慢性的な赤字体質に陥ってはいるが、リストラや研究開発費削減の成果もあって、直近の決算では昨年の同時期よりも赤字を減らしている。

恒常的にマイナスだったフリーキャッシュフローも、今年からはプラスに転じつつある。

これは、会社の外に出て行くお金よりも入ってくるお金の方が多いことを示している。現預金も10億ドル以上あるし、財務の健全度を表す自己資本比率も70%近く、問題ない。だから、巷で噂されているように「Twitterが間もなく倒産する」という事態は当面起こり得ない、と考えるのが自然だ。

痛みの伴う改革をやり終えたTwitterが再浮上できるか、今後も動向を見守りたい。