1日でも健康寿命を延ばすために知っておきたい「医療費節約の考え方」

不要なクスリ、無用な手術
富家孝

自己負担がどんどん増えていく

さらに、私たちが憂慮すべきことがあります。メディアはほとんど報道していませんが、政府は年間約1兆円の社会保障費の自然増加分を 年間5000億円以内に抑制すること決め、2015年12月に「経済・財政アクションプログラムの工程表」というものを作成しました。

この工程表には、医療費の抑制のために、患者の負担増となる項目がずらりと並んでいるのです。

そのうちの一つ、紹介状を持たずに大病院で受診する際の窓口負担増はすでに2016年4月から実施されました。これによって、いきなり大学病院などを受診すると、初診で5000円以上、再診で2500円以上の自己負担が追加されることになりました。

診察だけのケースで考えると、自己負担は一気に倍になってしまいました。また、入院時の食事代の患者負担額も「1食あたり260円から460円へ」(2018年度から実施)と、じつに70%以上も値上げされました。

以下、工程表のなかで、「2016年度中に法案提出および実施を目指す」と明記されたものを示してみましょう。

・「かかりつけ医」以外の受診で窓口負担増
・保険給付は後発医薬品までとし、先発医薬品との差額は自己負担
・入院時の居住費(水光熱費)の負担増
・市販品類似薬の負担増や保険外し
・70歳以上の患者負担限度額の引き上げ
・介護利用料を1割から2割負担へと、負担限度額の引き上げ
・「軽度者」への福祉用具貸与などの保険外し

どうでしょうか? 私たちはこれから、病院に行けば行くほど、これまで以上におカネがかかることになるわけです。

 

たとえば、《「かかりつけ医」以外の医師に診てもらう際は、窓口負担増》ということは、勝手にほかの病院に行って、再度同じ検査を受けると保険対象外となり、全額負担ということです。現在、セカンドオピニオンが奨励されていますが、それを勝手にやるとやはり全額負担となってしまいます。

《市販品類似薬は負担を増やし、保険の対象から外す》というのも、大幅な負担増です。市販品類似薬というのは、病院でも処方されるが薬局で一般に売られているクスリのことで、たとえば痛み止めのロキソニンを病院で処方してもらえば3割負担ですが、これからは病院では処方してもらえなくなる可能性があります。そうすると、一般薬局で買わなければならなります。これは、患者の10割負担になるということです。

このように、これから医療費はどんどん上がっていくのです。いくら日本は国民皆保険で、どんなに費用かかかっても3割負担(公的保険加入者で70歳未満)ですむとはいえ、制度そのものが大きく変わっていくので、私たちはそれに甘んじていられなくなります。

これまで医療費というのは、患者さんとっては、病院の窓口で言われたとおりの金額を疑問を持たずに払うものでした。その金額が高いのか安いのか、いったいどうやって決まっているのかなど、患者さんは考えたこともないと思います。

そもそも、医療費を安くするという発想そのものがなかったのではないでしょうか。

しかし、これからはそうはいきません。