できれば避けたい「激痛」の死に方

誰しも安らかに逝きたいものだが…
週刊現代 プロフィール

前出の内山氏が語る。

「長くつらい闘病というとがんをイメージする人が多い。確かにがんはつらい病ですが、実は他にも痛くて苦しい病気はいろいろある。

呼吸の苦しさという意味では、肺気腫という病気も大変です。よく『陸にいるのに、水の中で溺れている感じ』と表現されます」

肺気腫はタバコの吸い過ぎなどが原因で起こる病気。肺に慢性的な炎症が起きることで、細胞が膨れ上がり、二酸化炭素が排出できなくなる。つまり息を吐こうとしても吐けないつらさがある。

「肺気腫が原因で亡くなる方もいますし、肺気腫から肺炎になる人もいます。人工呼吸器を装着したり、寝ている時も酸素マスクをしたり、本当に苦しそうです。また、肺気腫になると抵抗力もなくなるので、インフルエンザにもかかりやすい」(内山氏)

高齢者の場合は、誤嚥性肺炎にも気を付けなければならない。これは飲み込む力が衰えた高齢者が、食べ物や唾液を気道に吸い込んでしまい、細菌が気管支や肺で繁殖してしまうために起こる肺炎だ。熱や咳を伴うが、最終的に呼吸困難の苦しみを味わって死ぬことになる。

他にも地獄のような苦しみを味わう病気はある。

たとえば上腸間膜動脈閉塞症。聞きなれない病気だが、七転八倒するような痛みがある。腸に流れる動脈が突然詰まる循環器系の病気だが、早期に治療を行わないと非常に危険だ。しかし、救急病院で腹痛を訴えても、原因がこの病気だとすぐに診断するのはなかなか難しいので、しばらくは激痛に耐えるしかないケースが多い。

他には「イレウス(腸閉塞)にだけはなりたくない」(関西の消化器系外科医)という声も多かった。

腸閉塞は文字通り、腸が詰まってしまう、あけすけにいえば「フン詰まり」の状態になることだ。膨満感や腹痛は当然のこと、ひどくなると腸の中身が逆流して嘔吐する場合もある。大腸がんが原因でなることもあるし、高齢者の場合、便秘がひどい人がなるケースもある。

腸ではなく膀胱の機能不全もつらい。膀胱がんなどで出血し、凝血塊が詰まるタンポナーデという状態になると排尿が困難になり、膀胱が張りつめて、強い尿意に苦しむことになる。緊急でカテーテルを使って血の塊を処理しなければ、命に関わる。

誰もが安らかな死を迎えたいと考えるのは当然だが、現実には突然の激烈な発作に苦しんで死ぬケースも多いのだ。

(→医者が明かす「痛い死に方ランキング」ワースト50はこちら gendai.ismedia.jp/articles/-/50215

「週刊現代」2016年11月19日号より