もっとチーズを食べなさい。哺乳動物の知恵がつまった健康食品の真実

ミルクの力、発酵・熟成の神秘
齋藤 忠夫

チーズを食べない日本人

そこで本書では、チーズのそうした側面を伝えるエピソードや逸話も、随所で紹介しています。

堅苦しい話にはならないように、極力心がけました。私は大学で「ミルク科学」という講義を担当しています。

1年間の授業の最後には、必ず世界のチーズを学生に食べてもらっているのですが、これが大好評で、やはり「食の原点」は理屈よりもまず「食べてみること」なのだと実感しています。

チーズの好みは人によってさまざまで、ブルーチーズを食べて「こんなにおいしいものは生まれて初めて食べた!」と目を輝かせる学生も、毎年必ずいます。

将来、彼らが自分にいちばん合うお気に入りのチーズになるべく早く出会ってほしいという願いから、毎年続けている企画です。

ですから私はみなさんにも、ぜひチーズをもっと食べていただきたいのです。

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残念ながら日本人は1年間に約2.2㎏しかチーズを食べていません(国際酪農連盟の2014年データ)。1日に換算するとたった6gほどにすぎません。しかも、その85%は「テーブルチーズ(おつまみ)」として食べられるだけで、家庭料理にはほとんど使われていません。

日本人は海外の食文化を吸収し、自分たちに合うように発展させる能力が格段に高いといわれていますが、チーズについてはカスタマイズはまだまだはじまったばかりといえるでしょう。

世界にはじつに1000種類以上のチーズが存在するといわれています。毎日違った種類のチーズを食べても約3年はかかる計算です。

私自身はぜひ、「チーズ三昧」の3年間を送ってみたいと思いますが、ぜひみなさんにも、まずは世界に多種多様なチーズがあることを知っていただき、人生をより豊かにするためにも、たくさんのチーズを日常的に召し上がっていただきたいと思います。

本書を手にとってくださったみなさんに、科学の視点からチーズの魅力に迫る旅をご一緒いただき、生涯の伴侶となるすばらしいチーズと一日も早く出会っていただきたい。それが、著者としての何よりの願いです。

齋藤忠夫(さいとう・ただお)
1952年東京生まれ。1982年東北大学大学院農学研究科修了。農学博士。東北福祉大学講師を経て、1989年に東北大学大学院農学研究科助教授、2001年より教授。専門は畜産物利用学・応用微生物学。とくに機能性乳酸菌とヨーグルトやチーズに造詣が深い。日本酪農科学会賞、日本畜産学会賞、日本学術振興会第一回科学研究費優秀審査員賞、国際酪農連盟日本国内委員会第三回光岡賞などを受賞。『現代チーズ学』(食品資材研究会)、『ヨーグルトの辞典』(朝倉書店)など編著書多数。現在、アジア乳酸菌学会連合(AFSLAB)会長、日本酪農科学会(JDSA)会長、日本農芸化学会フェロー。趣味はピアノ演奏と海外旅行。
『チーズの科学』
ミルクの力、発酵・熟成の神秘

齋藤忠夫=著

発行年月日: 2016/11/20
ページ数: 224
シリーズ通巻番号: B1993

定価:本体  980円(税別)

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(前書きおよび著者情報は初版刊行時点のものです)

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