安倍政権はいま、解散総選挙についてこんなことを考えている

【永田町内幕リポート】
鈴木 哲夫 プロフィール

動きはじめた前原、小沢

まずは、前原誠司・元民主党代表だ。前原氏は自由党の小沢一郎代表と頻繁に会い、野党4党共闘の可能性について話し合っている。

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前原氏は、同グル―プ議員らに「理念の違う共産党と同じ政党になることはない。しかし、もっとオープンに政策協議をすれば、(政策などで)共通するところがいくつも出てくるはず。じゃあ一緒に戦おうということになれば、世論も共産アレルギーのある民進党の支援者も納得させられる」と話し、「野党共闘しかない。自民党の対抗軸の政治勢力を作らなければオワリ」とまで言い切っているという。

また現執行部ながら、安住淳・代表代行も野党共闘へ動く一人だ。蓮舫・野田コンビが他の野党の推薦を蹴った今回の衆院補選では、最終盤になって安住氏が独自に共産・自由・社民に声をかけ、野党4党そろい踏みの応援演説を実現させた(民進は安住氏自らが壇上に立った)。

「安住さんは先の参院選のときに、自分の選挙区である宮城で野党統一候補を当選させた、成功体験がある。今後も独自に野党とは連絡を取り合いながらやって行くでしょう」(民進党選対幹部)

選挙での連敗やこうした党内の動きに触発され、さすがに方向転換を意識し始めたのか、先月末からようやく野田幹事長が自由党の小沢代表と数回にわたって会い、野党共闘について話し合いを始めた。

野田佳彦氏は自らが首相のときに、消費税についての意見の相違などをめぐって、小沢氏を離党させた張本人。「民主党が政権から転がり落ちたのは、小沢のせい」とばかりに、その後も徹底して小沢氏とは距離を置き、野党共闘が具体化してきていた今年春の段階でも。「野党共闘は小沢抜き」などと発言していた。

しかし、その野田氏もここへきて方向転換を見せている。

「最近の選挙で失敗した批判をかわすために、野党協力のポーズをとっているのでは」(他の野党議員)といった穿った見方もあるが、小沢氏自身が「どうも野田さんは本気のようだ」と周囲に話しているという。

野党共闘を推す市民連合幹部は、「共産党や、小沢さんと一番対極にいる野田さんが覚悟を決めて、エイヤッと本気で共闘に舵を切れば、一気に求心力を持ち、野党共闘がうまく行く」と野田氏の本気度に期待する。そもそも自民党に水をあけられている野党、とりわけ第一党の民進党にとって、新執行部の選挙戦術の軌道修正は待ったなしだ。

解散風は、決して吹き止んだのではない。水面下で与野党ともに選挙に向けた「立て直し」と「地力の強化」を行っていることからも、それは明らかだ。強弱を繰り返しながらも、永田町には風がしばらく吹き続けることは、間違いない。(了)