中国が尖閣諸島を占領する日 〜最悪のシナリオを公開する

突かれる日本の「法的不備」
渡部 悦和 プロフィール

日中紛争シナリオ

日中が激突するシナリオは何パターンも考えられるが、本稿では「尖閣諸島シナリオ」「南西諸島シナリオ」の二つについて分析し、いかに対処すべきかを考えてみたい。

いかなる日中紛争シナリオにおいても、非戦闘員ないしは特殊作戦部隊による破壊活動は必ず発生すると覚悟すべきであろう。

平時から中国軍や政府機関の工作員、そのシンパで日本で生活する中国人、中国人観光客が、沖縄をはじめとする在日米軍基地や自衛隊基地の周辺に入っていると想定すべきである。

彼らの目標はまず重要インフラの破壊、さらにハードルは高いが在日米軍や自衛隊の基地、レーダーサイト、港湾に停泊する米海軍や海上自衛隊の艦艇及びC4ISR施設、空港に駐機中の航空機、滑走路を破壊する点にある。

 

とくに南西諸島で想定される紛争においては、中国軍の特殊作戦部隊が空(ヘリコプターを用いて敵地へ部隊を派兵する「ヘリボーン作戦」。小規模な空挺降下も考えられる)または海から侵入し、破壊活動や重要目標奪取に従事するとともに、ミサイルや航空機の火力発揮を容易にするためのセンサーの役割を果たすことになろう。

中国軍は、こうした破壊活動に先行してサイバー攻撃、米国や日本の人工衛星に対する機能妨害などの作戦も開始するであろう。つまり、紛争開始前後に五つのドメインすべてで中国軍の先制攻撃が実施されると覚悟すべきである。

〔PHOTO〕gettyimages

「尖閣諸島奪取作戦」

尖閣諸島は、日本の固有の領土であり、日本が実効支配している。しかし、中国は1970年代に突然「尖閣諸島は中国固有の領土だ」と主張し始め、最近は中国の海警局の船が頻繁に尖閣諸島周辺の日本領海を侵犯している。

このため我が国は、海上保安庁を主体に中国の違法行動に対処しているが、日中の活動がエスカレートし、尖閣諸島をめぐるさらに厳しい紛争に発展していく可能性はある。問題は中国の不安定な国内情勢にある。

中国経済がL字型(さらに厳しいh字型の可能性もある)の停滞期に入り、国民の不満が高まっている。さらに2016年7月、常設仲裁裁判所が南シナ海の領有権をめぐる中国の主張を完全否定したが、この裁定を受けて中国国内が非常に好戦的な状況になっている。

このような状況下では、中国が尖閣諸島を占領するシナリオが考えられる。最も蓋然性が高い作戦は、軍隊を直接使用しない「準軍事組織による作戦(POSOW)」である。