「財界の著名人や俳優、ロックスターなど、私はあらゆる分野のトップの人々と仕事をしてきました。チャールズ皇太子をはじめ、ロイヤルファミリーのインタビューもね。けれど、登りつめた時、何か方向転換をしてみたいと思うようになったのです」
世界的に名を馳せた有名ジャーナリスト、セリーナ・スコットは言います。世界中が驚きとともにその結果を受け入れざるを得なかったアメリカ大統領選。
選挙中にはあのトランプ氏とセリーナのかつてのバトルも、メディアに大きく取り上げられました。
当時ジャーナリストとして頂点を極めたセリーナが90年代に手掛けたトランプ氏のドキュメンタリー番組に、後日、トランプ氏が猛反撃。セリーナを「自分に自信がない、三流ジャーナリスト」と非難しました。
トランプ氏は、たて続けにセリーナに手紙を書き、自分の経営手腕を褒め称える新聞の切りぬきを、「私は勝者、あなたは敗者」というメッセージとともに送り続けます。
そのすさまじい模様はここでは割愛しますが、あのような人にアメリカ人がなびくなど信じられないと、テレビで猛反発している様子にジャーナリストとして生きる彼女の強さを感じました。
彼女は1951年、ノースヨークシャーにあるスカーブラで、5人きょうだいの長女として生まれました。父は警察巡査部長。母はノースヨークシャーのレイデールでジャーナリストとして活躍していました。
その影響でしょうか。セリーナが29歳でITVの「ニュース10」のニュースキャスターに抜擢されるや、視聴率はうなぎ登り。
1983年には全英に放送されるBBCの朝のニュース番組の顔となり、アメリカに渡ると、アメリカの三大ネットワークの一つであるNBCテレビで自分の名を冠にしたトーク番組を持つまでになります。
英国帰国後もキャスターや番組アンカーとしてその地位を不動のものにしました。
「何か新しいことを始めてみたかったのです」
65歳になったセリーナの新たな興味は靴下作りでした。彼女の輝かしいキャリアを知る人は意外に思ったことでしょう。