大人気商品のウソ〜魅力的な「薬用石けん」、実は効果ナシ!

欧州では使用禁止!?
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そして今回の騒動で浮き彫りになったのは、米国が禁止した成分を含む含まないにかかわらず、「薬用」と称していた意味は何だったのかという疑問である。

「薬用」とは医薬品のことではない。医薬品医療機器等法(旧薬事法)にも定義はなく、医薬品と化粧品の中間に位置する「医薬部外品」に認められている表示だ。人体に緩やかに作用する有効成分を含み、予防効果があることを示す。

前出の大矢氏が言う。

「手の表面の平べったい皮膚、ここは薬用石けんを使わなくても、普通の石けんで丁寧に洗えば、ある程度の菌類はちゃんと落ちるんです。医療関係者が施術前に使用する場合や菌に弱い患者さんがいる病室にお見舞いに行くケースなどは別ですが、日常生活の手洗いならば、薬用石けんを使う必要は特にありません」

だが消費者は、「薬用というからには、除菌効果が高く、健康にもいいのだろう」とテレビCMをそのまま信じて購入してきたのだ。それなのに、いまさら「薬」じゃなかったと言われたら、詐欺にでもあった気分になってしまう。

 

前出の厚労省担当者が説明する。

「トリクロサン自体が悪い、薬用石けん自体が悪いという話ではありません。FDAは家庭用の薬用石けんを対象にしており、業務用は規制しておりません。それ自体の殺菌効果はあるものと考えられています」

各メーカーもこう口を揃える。

「トリクロサンなどの殺菌剤を使用する薬用石けんは厚生労働省より医薬部外品の承認を受けて、製造・販売しており、効能に問題はないと考えます」(株式会社ペリカン石鹸担当者)

「きちんと自社でデータをとってその有効性を確認しています。そもそも薬用石けんは、米国ではOTC(店頭で購入できる医薬品)であるのに対して、日本は医薬部外品ですから、同じカテゴリーではありません。日本のものは、人体に対する作用が緩やかなものです。FDAのデータと比べてどうなのかということはしていません」(前出・レキットベンキーザー・ジャパン担当者)

米国と日本では薬用石けんに対する考え方が違うという。一方、前出の大矢氏はこう解説する。

「トリクロサン自体の抗菌成分は有用です。ただし手洗いでは、薬剤を泡立てた状態で何分かつけ洗いすることまでしないと通常の石けんと差は出てこないと思います」
日常生活のレベルでは、「薬用」という言葉は結局、イメージだけだったということになる。今回の米国の決定がなければ、日本の消費者はそれに気がつくことさえなかったかもしれない。

「週刊現代」2016年11月12日号より

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