大損する人続出中!マンション投資と優雅な「大家ライフ」の落とし穴

銀行のカモになる素人たち
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地方の医者が失敗している

アパート経営に加えて、相続税対策で注目を集めてきたのが、タワーマンションへの投資だ。タワーマンションはもともと一戸当たりの土地が小さいので課税される額が小さい。

さらに高層階に行けば行くほど物件価格が高くなるのだが、課税評価は面積によって配分されるので低層階を買うより高層階を買うだけで節税効果が期待できた。住宅ジャーナリストの榊淳司氏が語る。

「たとえば同じ間取りだと高層階の1億円の物件と低層階の7000万円の物件で、相続税の評価額は変わらない。固定資産税も変わりませんでした。

しかし、ここにきてタワーマンションの税制の歪みを正そうという動きが出てきた。政府は'17年度の税制改正大綱で、高層階の固定資産税を高めに見積もる計算法の導入を決定している。このように税制なんてコロコロ変わるものです」

税制の変更以外にもタワーマンションの盲点はある。

 

「新築のキラキラした物件だからといって、安心してはいけません。三鷹駅から徒歩3分くらいのところに大手不動産会社が分譲したタワーマンションがあります。'10年の竣工でしたが、東日本大震災で大きく壊れるところが出た。上層階では扉が閉まらなくなってしまった部屋もあったそうです。

管理組合が怒って、建設会社に修繕を求めましたが、地震のせいだから補償できないと要求は突き返された。あまり騒ぐとこの物件の悪評が広まりかねなかったので管理組合は泣き寝入り。各戸から修繕費を50万~100万円ほど集めたうえで、修繕費1億数千万円を支払いました」(榊氏)

この物件は、今年の夏にも台風の影響で3階部分の外壁タイルが崩れ落ち、通行人が負傷する事故も起きた。ちなみに建設会社は、昨年大きな話題になった横浜の傾きマンションを作った会社である。

「まだ表沙汰になっていないだけで、欠陥で揉めているマンションはいくらでもあります。あまり騒ぐと資産価値が下がるので、住民も黙っているケースがほとんどなのです」(榊氏)

アパートを建てるにしろ、マンションを買うにしろ、不動産会社の言いなりになって物件を選び、銀行の勧めるがままに融資を受けていたら、ろくなことにはならない。都内の不動産会社社長が、業界の論理を語る。

「不動産屋やゼネコンは遺産相続の情報を得ると、『入居者は世話するから』といってアパートを建てさせようとします。最初は面倒を見てくれるかもしれませんが、3年も経つと何もしてくれない。それもそのはずで、アパートの建築費で儲けるのが不動産屋の商売なのだから、あとは知ったことではないのです」

ワンルームマンションへの投資なら、価格も安いし気軽に始められると思っている人もいるかもしれない。だが、そこにも落とし穴がある。3年前に都内にワンルームを買った吉野光一さん(57歳、仮名)が語る。

「マンション投資のためのセミナーに出かけて行って、そこで不動産屋に新築のワンルームマンションを勧められました。近くに大学もあるし、駅から10分くらいだったので、いいだろうと思って買ったのです。

しかし、今年に入ってからは空室が続いている。損益通算といって、マイナス分は自分の給料と合算して、税の控除ができるような仕組みがあるので、少しはおカネが戻ってくるのですが、結局持ち出しでローンを返し続けており、全体で見れば損をしてる」

素人は新築という言葉に騙されがちだが、不動産投資の鉄則は新築を避けることだ。

「まず新築は中古に比べて3割くらい高い。しかし、最初の2~3年は税金が多めに戻ってくるので、持ち出しが少ないような錯覚にとらわれるのです。不動産事業自体がマイナスになっても損益通算があるので、なんとなく儲かっているような気になってしまう。

業者の手口も巧妙です。新築の購入と運用で一時的に税金が返ってきて喜んでいるところを狙って、もう一軒買いませんかと持ちかけて来る。最初の購入での持ち出し感の薄さと税金が返ってきた嬉しさで、ついつい買ってしまう。

地方の医者などで、このような手口に乗せられて、10件以上も新築を買ってしまい首が回らなくなったという人がけっこういますよ」(榊氏)