フジテレビだけ置いてきぼり?テレビドラマから「恋愛」が消える日

なぜミステリー、職業モノばかりなのか
週刊現代 プロフィール

恋愛ドラマが視聴者に受け入れられない理由について、中央大学教授・山田昌弘氏は社会学の視点からこう分析する。

「第一点は、若者に恋愛離れが起きているということ。恋愛自体に興味関心がない若者が増え、交際相手がいる割合は減少している。さらに彼氏彼女が欲しいと思っている人も減っている。若者全般に恋愛に対するあこがれがなくなってきたということです。ただし結婚はしたいと思っている。

つまり、結婚に結びつくマニュアルになるならまだ見たいけれど、恋愛はもういらない、ということなのでしょう。ドラマの恋愛はモデルにならなくなった、ということです」

 

何度も都合よく男女が偶然出会う話は参考にならない。そもそも、SNSで24時間相手の動向がわかる現代では「すれ違い」や「会えない時間の辛さ」といった要素は、もはや何の共感も呼ばないのだ。

「さらに言えば、中高年はいまさら『若者がこういう恋愛をしている』というドラマを見させられてもまったく意味がありません」(山田氏)

やるならよほど上手くないと

前出の碓井氏が嘆く。

「とは言っても、人を好きになるという基本的な感情に変わりはありません。その点では、作り手の力量が問われている。いい脚本といい役者がいたら、いまでも映画『君の名は。』のように恋愛モノはヒットする。しかし、テレビにはその2つがないということです」

作り手である30代の民放テレビ局ドラマプロデューサーが語る。

「単純に恋愛モノで主役を張れるような、幅広い世代から支持を受けている20~30代の若手男性俳優がほとんどいないんですよ。各局とも恋愛ドラマを捨てたわけではないですが、よほどよくできた原作がないと、会議で通らないんです」

各局のプロデューサーはリスクも高い恋愛ドラマに及び腰だという。

「まず過激なベッドシーンはいまの時代できないので、無難な絵になります。しかも恋愛ドラマはツイッターなどで話題が広がりにくい。ミステリーやサスペンスが有利なのは、その後の展開予測でネットが盛り上がってくれるから。

また、いまのドラマは『相棒』のように人気が出たら映画化や続編も作るというのが主流ですが、恋愛ドラマは続きが描きづらいため、ヒットしても儲からない」(前出・プロデューサー)

観るほうも、民放各局の作り手も「恋愛ドラマ」を求めていないのだ。

そんな中、このクールで異彩を放つのがNHKのドラマ。『運命に、似た恋』ではクリーニング店店員役の原田知世が新進デザイナー役の斎藤工と恋に落ちる。また、観月ありさ主演のNHKプレミアムドラマ『隠れ菊』は不倫がテーマだ。

「1話に愛人が3人も出てくるドラマって、なかなかないですよ(笑)。ドロドロした愛憎劇が好きな少数派の受け皿は、今はNHKになっています」(前出・ペリー荻野氏)

今秋はNHKだけが恋愛ドラマの良作を作っているのが現状だ。時代に合った新しいタイプの恋愛ドラマは今後生まれるのだろうか―。

「週刊現代」2016年11月5日号より