「余命半年」の宣告…がんの名医ががんになって初めてわかったこと

患者にとって一番大切なものとは?
西村元一

たとえば周りから、「ゆっくり休んでね」と何気なく言われた言葉が患者には「もう自分は必要とされていないんだ」と思える。

「痛みはありますか」と医者に聞かれたら「後で痛くなるのか、何か隠しているのか」と疑心暗鬼になる。

そういうことも自分ががん患者になって初めて分かりました。

その一方で患者も医者や家族の前では、見かけ以上に強がって元気なフリをします。
医者と患者のこの「ズレ」が大きくなると、いい医療は絶対にできません。

そこで僕が現在、精力を傾けているのが、がん患者と家族、医療者が本音で語り合える場所(金沢マギー)作りです。

有り難いことに、全国から講演依頼がきているので、体調の許す限り自分の経験を多くの人に話したいと思っています。

がんの外科医でありながら、がん患者でもある僕だからこそ、できることがある。それが今の僕の生きがいになっています。

繰り返しになりますが、病気になった時、大切なことは病院任せ、医者任せにしないこと。自分で納得して決めることが重要です。

人生は「予想外」の連続。僕がこうしてまだ生きていることも、医者からすればある意味予想外のことかもしれません。だから僕と同じようにがんと闘っている患者さんも、どうかあきらめないでください。

 

「週刊現代」2016年10月29日号より