年内解散説が濃厚
10月14日から衆院TPP特別委員会(委員長=塩谷立・元文部科学相)は、今臨時国会の最大の焦点である環太平洋パートナーシップ協定(TPP)承認案と関連法案の審議が始まった。
そして17、18両日に安倍晋三首相が出席して、各党の質疑が行われる。政府与党が早期成立を目指しているのは、11月8日の米大統領選のクリントン民主、トランプ共和党両候補が反TPPを打ち出しているため、オバマ米大統領が退陣する来年1月までに米議会批准を後押しするためだ。
安倍官邸と自民党執行部は当初、同大統領選本選までの承認案衆院通過の国会運営を想定していた。しかしここに来て、野党民進党や共産党が早期成立に強く反対しているため国会審議紛糾が不可避と判断、密かに会期延長を検討し始めた。
11月30日の会期末を20日間程度延長するというものだ。そして11月8日までの衆院通過が難しいのであれば、遅くても同中旬までに衆院で強行採決をしてでも通過させて、12月中旬に参院自然成立を図るという国会運営方針に変更するというのである。
では、なぜ安倍首相はTPP承認案・関連法案の早期成立に固執するのか。TPPは長くて厳しい交渉の末、昨年10月の米ジョージア州アトランタで日米など12カ国閣僚合意をみた。その後、肝心要の米国が大統領選とオバマ政権のレイムダック化によって米議会での批准・発効の先行きが不透明になった。
そこで安倍首相は、国会承認を得たとして米側に早期批准の圧力にすることを考えているのだ。
だが、それだけではない。早期衆院解散・総選挙の争点をTPP承認案の是非にするというのだ。
周知の通り永田町では今、「解散風」が吹き荒れている。来年1月の「通常国会冒頭衆院解散・総選挙」説が定着し、各党の現職衆院議員と立候補予定者は各選挙区に張り付いている。
それどころか、実はここに来て「年内解散・総選挙」説が急浮上しているのだ。それも複数の見方がある。