ヒラリーvsトランプ2回戦、手に汗握る「殴り合い」を再現してみた

3分でわかる第2回公開討論会【前編】

はじめまして。徐東輝(そぉとんふぃ)と申します。

私はいま、アメリカ大統領選挙をテーマに「民主主義はどこから来てどこへ行くのか」を問うべく、現地に飛んで情報発信をしております。先日10月9日は、大激戦州のひとつ・オハイオ州のコロンバスで大統領候補の公開討論会を「観戦」しました。

全4回ある公開討論会を日本にわかりやすく発信するにはどうすればいいだろうと思い悩み、前回はスライド形式で記事を出した(https://note.mu/tonfi/n/n4d83ede58614)のですが、これが思いの外たくさんの方に読んでいただき、今回はこちらに掲載させていただくことになりました。

ちなみに私は、大学院を卒業した直後にアメリカにやってきまして、少し珍しいですが、「ジャーナリズム型クラウドファンディング」(https://camp-fire.jp/projects/view/11415)をしながらアメリカを横断しております。応援してくださる方の力を借り、情報はすべての人に共有したい、というコンセプトで活動中です。

それでは、投票日まで1ヵ月を切ったアメリカから、第2回目の公開討論会の模様をダイジェストでお届けします!

アメリカ合衆国大統領選 公開討論会 10月9日 ワシントン大学 討論内容詳報 前編
公開討論会について
米大統領選の恒例行事、公開討論会。
今回は計4回開かれる討論会のうちの3回目です。
大統領候補同士の直接対決としては2回目。直前に飛び出したトランプ氏の過去の女性蔑視発言、ウィキリークスによるヒラリー氏の情報公開など、直前に流れたさまざまなスキャンダルへの対応も注目されました。討論の形式は「タウンホール形式」 。初回と同様、CMなしの90分間真剣勝負ですが、ステージ上には候補者と司会者だけでなく、彼らを囲む形でオーディエンスが座るのが特徴です。
(写真)候補者の後ろに座るオーディエンスたち
討論会のルール
司会者もしくはオーディエンスの質問に対して候補者がそれぞれ2分間で回答し、続けて司会者がそのテーマについて討論を回す。質問の比率は、司会者とオーディエンスで半数ずつ。オーディエンスは、投票態度を決めていない有権者から
人種構成にも配慮して選抜される。参加者の質問は事前に決定され、本番での変更・追加は許されない。司会者による質問は、事前に有権者がオンラインで提出した15584問の中から、367万人の投票によって選ばれた。
司会を務めたのは、人気ニュースアンカーのアンダーソン・クーパー氏とマーサ・ラッダーツ氏
有権者との距離が近いタウンホール形式では、より「生身の」候補者の表情や対応が垣間見えます。特にトランプ氏はタウンホール形式の討論会に慣れていないため、どのように乗り切るのかが注目されていました。それでは、討論会で語られた内容を、順番に見ていきましょう!
 
 
1 候補者としての品格
【質問】前回の公開討論会は、テレビの青少年保護規制がかかってもおかしくない内容でした。教師たちが大統領選挙を授業の課題にしようとしていると知っていながら、今のあなた方は、本当に青少年に対して適切で健全な模範的行動をとれているとお考えですか。
【ヒラリー・クリントンの回答】現場の教師から、選挙戦の間に発された言葉に
恐怖・不安をいだいている家族・子供がいると聞いている。アメリカは多様性を重んじる偉大な国であると明確に次世代に伝えることが大切である。幼児教育から大学までの最高の教育を、収入に関係なく誰もが享受できるようにという目標も、共に協力すればアメリカにはできると信じている。そうすれば、政治的信条・出自・外見・宗教などが異なる人たちとも、共に歩みを進められる。
【ドナルド・トランプの回答】彼女の発言全てに同意する。過去の発言は、この国に起きる馬鹿らしい出来事に対処するため、「政治家」として仕方なく発言してきた。それらはすべて「アメリカをもう一度偉大な国に」するためである。オバマケア、イラン合意、貿易赤字、それに国境警備の問題と、この国は本当に弱くなってしまった。アフリカ系アメリカ人やヒスパニックらと問題を解決し、アメリカを偉大な国にしたい。
2 トランプの女性蔑視発言
【質問】トランプ候補、質問は「青少年にとって適切で健全な模範的行動をとれていますか」です。今週露見した新たなビデオテープを思い出してください。あなたは「女性器を掴みながら同意なしにキスをしてやった」と言っているのです。これは女性に対する性的暴行だということを認識してください。
【ドナルド・トランプの回答】私はそんなことは言っていない。過去そのような発言をしたことは恥ずべきことであり、お詫びの意を表する。家族にも国民にも。しかし、決してそのようなことはしていない。より重要で大きな問題を議論したいものだ。私はそのような問題ではなく、ISISといかに闘うか、中東その他の移民にどう対応するかに取り組みたい。
【ヒラリー・クリントンの回答】今日まで彼の動画での発言を聞いてきた人が悩んだように、私も悩んだ。共和党の政治家とは、主張・信条が異なることはあれど、資質がないと思ったことはなかった。彼が初めてだ。女性に関する差別的発言だけではない。アフリカ系アメリカ人、ラティーノ、障がい者、捕虜、ムスリムその他沢山の人々を攻撃してきた。アメリカはすでに偉大である。なぜなら良識ある人々がアメリカをつくっているからだ。
【質問】トランプ候補、この動画は過去48 時間で最も注目される話題となり、SNSでも何百万人の議論の的になっています。そこで更に質問ですが、あなたは選挙キャンペーンがあなたを変えたと言っていますが、では動画の発言の頃は全然違う人間だったのですか。それとも最近になって行動が変わったのですか。
【ドナルド・トランプの回答】先程も述べたように、過去そのような発言をしたことは恥ずべきことだ。しかし私のは単なる言葉に過ぎないが、ヒラリーの夫のビル・クリントンは行動で女性を侮辱した。国政政治家の中でも彼ほど女性に対し差別的だった人物はいない。そして、あろうことかヒラリーは同じ女性に対して言葉の暴力を奮ったのだ。私は単なる発言であり、クリントン夫妻の行動とは比べ物にならない。(写真)ビル・クリントン元大統領から暴行やセクハラを受けたとして過去に訴えを起こしたことのある女性たちも、観客席で討論を見守る。
(写真)討論を見つめるビル・クリントン元大統領 【ヒラリー・クリントンの回答】まず始めに、彼がいま述べたことはすべて正しくないと伝える必要がある。ミシェル・オバマの言うように、「彼らが低俗にいけども、我らは高貴に」の精神を大切にしたいと思っている。彼は決して自らの言動について謝らない。戦死したムスリム兵の遺族にも、メキシコ人の子供だと非難した連邦裁判事にも、そしてわが国の大統領の出生地に疑問を投じ続けたことも。彼はアメリカ全土に謝罪せねばならない。その発言と行動に関してだ。
【ドナルド・トランプの回答】謝罪という点でいえば、まさしくそれはヒラリーにいえることだ。オバマの出生地はそもそもヒラリー陣営が言い始めたことである。ミシェル・オバマ氏も誹謗中傷広告キャンペーンにたくさん出ている。決して勝てないように仕組まれていたバーニー・サンダースにも謝るべきだ。何よりも削除された3万3千通のEmailだ。言うのも憚れるが、私が大統領になった暁には、腕利きの検事を雇い、本件を入念に調べ上げる。彼女は監獄に入ることになるだろう。