もんじゅ問題。なぜこの国の為政者は「失敗」を認められないのか

血税1兆2000億円がパー
週刊現代 プロフィール

廃炉にも3000億円かかる

'11年の福島第一原発の事故は、まさにこうした「オレは知らなかった」「私は担当ではなかった」という「誰も責任を取らない」政府(当時は民主党)の姿勢によって、大惨事に発展した。

現在の政府の態度もこれと同じだ。しかも、こうした態度で青森県の六ヶ所再処理工場の建設を進めようとしているのだから、正気の沙汰とは思えない。

仮に廃炉が進むとしてもそれで話が済むわけではない。これまでもんじゅにつぎ込まれてきた1兆2000億円というすさまじい額の血税は二度と戻ってこない。

そして、「停止中」のもんじゅはいまこのときもカネを食い続けている。

将来性ゼロの巨大装置を「維持」するためだけに、原子炉を冷却するナトリウムの管理、放射線量のチェック、部品の点検といった作業が行われ、年間約200億円ものカネが、停止中のもんじゅにつぎ込まれている。

問題は政府・与党だけではない。

 

'60年代以来、国策を推し進めてきた文科省(旧文部省、科学技術庁)や原子力発電を推進する経済産業省(旧通産省)、そして予算をつけてきた財務省(旧大蔵省)からは、「反省」の声は聞こえてこない。

メインとなって事業を推進してきたのは、かつての運営主体の旧動力炉・核燃料開発事業団(動燃)や現在の運営主体である原研機構を管轄する文科省だ。ただし、本誌が取材をしようと担当部局に複数回問い合わせてみるも、

「担当者の許可がなければ公式にお話を出すことができません。本日、担当者は戻りません」

と言われるだけで、コメントを得ることはできなかった。

もんじゅは'60年代に、使用済み核燃料の再生を行う「核燃料サイクル」実現のための中心的な施設として研究がスタートした。核燃料サイクルは、資源小国・日本にとって「夢の技術」だと謳われてきた。

「国策として始まったもんじゅは、着地点を見出さずに計画がスタートしたため、当初数百億円だった建設費が、1600億円、4000億円、5900億円とどんどん膨れ上がっていきました。一度予算がつくとそれに慣れてしまい、やめられなくなる。まさに日本の官僚機構の宿痾です」(「もんじゅ」に関する市民検討委員会委員の福武公子弁護士)

そんななか、'95年にもんじゅは大惨事一歩手前の事故を起こす。前出の後藤氏が言う。

「燃料冷却用の液体ナトリウムが漏れ出し、空気に触れて火災が起きたのです。その後、事故の隠蔽なども問題となりました。

そもそもナトリウムは空気に触れると火が出る危険なもの。また、ほかの原発と違って、トラブルが起きても、原子炉に『不活性ガス』という特殊なガスが入っているので、蓋も簡単に開けることができない。非常にリスクが高い原子炉なのです」

だが、一度始まった国策は止まらない。その後も、対策工事にさらなる資金が突っ込まれ続けた。

運営主体の原研機構の内部にも恩恵を享受してきた人々は多い。前出の田辺氏が言う。

「原研機構は'05年に、それまでもんじゅの運営をしていた核燃料サイクル開発機構(旧動燃)と日本原子力研究所(原研)が合併してできました。私を含めた原研出身者は自分で研究費を集めているにもかかわらず、実用化の目途も立たないもんじゅには多額の国費が投じられてきた。原研出身者からは不満が出ていました」

本誌が原研機構に、これまでの責任について問うと、報道課職員からは、

「1兆2000億円がかかっているのは事実ですが、廃炉するにせよ、廃炉しないにせよ、これからまだおカネがかかっていきます。いまの段階でのコメントは控えたいと思います」

と開き直った回答があった。