UFCで二連続KOを収めた「驚異の日本人」石原夜叉坊をご存じか?

「抱いた女の数だけ強くなる!」と豪語
稲垣 收

「遊び人」を公言する理由

――夜叉坊選手は遊び人であることを自らアピールしています。今回も、試合後は「体がボロボロになるまで遊び倒した」とツイートしてましたね。

「いや~、もうホンマに『痛めつけてる』って感じがしました(笑)。毎晩パーティーで、楽しかったですよ。不摂生で胃が重いです。揚げ物食べたら、消化が悪くなって」

――今回の試合後のインタビューでも「(祝勝の)パーティーをやるから来いよ!」って言っていましたが、たくさん来ました?

「来ましたね! 女の子が6人くらい僕らのホテルまで来てくれて、もうメチャクチャ楽しかったですね。ミュージック・ビデオみたいですよ。こうやって札ビラバラまいて、みたいな(笑)。

ラスベガスでのパーティーもヤバかったです! トップレス・ダンサーの女の子たちがワーッと寄ってきて、普通はチップ払って(ラップダンスというヒザの上で踊る)ダンスを踊ってもらうんですけど、『あなたならチップなしでいいわ!』って皆踊ってくれて。で、女の子たちに服脱がされて、もうメチャクチャされて(笑)。いや~、やっぱUFCファイター、ヤバいッスよ、ほんま、モテモテで!」

【PHOTO】gettyimages

母親想い

――ところで、この間の試合の日は、お母さんの誕生日だったそうですね? そしてその日にお母さんが大阪で『Cafe & Barガジュマル』をオープンされて。KO勝利は、最高のプレゼントになりましたね。

「はい、良かったです。そのカフェに知り合いがみんな集まって、僕の試合を見ながら応援してくれてたんで」

 

――「ハッピー・バースデー、マイ・マザー!」と勝者インタビューの最後に叫びましたね。

「でも、もうちょっとで忘れるとこやったです。『あっ!』っと思って、最後に戻ってきて言いました(笑)」

――賞金の一部はお母さんに?

「はい、お店が無事にオープンしたんで、コーヒー淹れる機械の、ちょっと高級なヤツを買ってあげようと」

――親孝行ですねえ! カフェのメニューには、夜叉坊選手が試合前の減量の際に食べているメニューもあるそうですね。

「ええ。いつも試合前の練習期間、アサイー・ボール作ったり、グリーン・スムージーとか飲んでるんで、それをそのままカフェで出してるようです」

倒した相手の名前をスーツの内側に刻む

――夜叉坊選手は今、カリフォルニアの名チーム「アルファメール」でトレーニングをしています。いま一番学んでいることは、レスリング技術ですか?

「MMA(総合格闘技)ですかね。もう、MMAを習って覚えてるって言うか。レスリングだけ、というわけではなくて、全てつながっていますから」

――初期のUFCは異種格闘技戦の趣が強かったというか、柔術家vsレスラーとか、レスラーvsキックボクサー、という感じでしたが、今は皆が全ての技術をできるようになってきてますからね。

「そうですね。今は全部できないと勝てないッスよね」

――そういう中でも夜叉坊選手が戦っているフェザー級は、特に選手層の厚い階級じゃないですか。王者マクレガーも暫定王者アルドも大変強いですからね。

「はい、“修羅の国”ですね(苦笑)」

――その中で勝ち上がっていくのは難しいとは思いませんか?

「そういうことを考えるより、強い人と戦えば、稼げるお金もバンバン上がって行くんだ、ということを強く意識していますね。試合相手のこととかよりも、そういう妄想をしています。試合が決まったら『これに勝ったら、ファイトマネーでああして、こうして』とか『こういうプロモーションして……』とか、それを楽しみに戦いに臨みますね。今までだったら意識しなかった高級なスーツとか鞄とか時計とかが、買える状態になっていく楽しみです。

今回も、『いいスーツを作ろう』と思って、前の試合が終わった後に買いに行きましたよ。ヘタにカネ持っていると全部飲み代に使っちゃうんで、それやったらいいスーツを作って、『毎回ブッ倒した相手の名前をスーツの内側に刺繍してやろう』と思って。ベガスで倒したエロサの名前、もう入れましたよ!(笑)」

【PHOTO】gettyimages

――面白いですね。昔の戦闘機乗りが、撃墜した敵機の数だけ星のマークを自分の機体に刻んでいったみたいですね。王者マクレガーもテーラーメードのスーツで毎回会場入りしてますからね。

「カッコええッスよね~、あいつはホンマに!」

――でも彼もUFCに出る前は格闘技だけでは生活できず、生活保護に頼って暮らしていたんですよね。それが今やミリオネアーですから。

「いやあ、僕もそれに近いイメージが描けている気がするんで、このまま一歩一歩階段をしっかり登って行けば、そこまで行けるような気がしています。」

――夜叉坊選手はツイッターに「なりたい自分に近づいていく。 なりたいから近づいて当たり前! やれば誰だってなりたい自分に近づいていける!」と書いてましたね。

「ええ、本気でそう思ってます。なりたい自分を描いて、それに向かって行動すれば、一歩でもその姿に近づけるわけじゃないですか。だからもう『やるかやらんかだけや!』って思っています。僕はアメリカで大金をつかみたいと思った。だからアメリカに渡った。それで、思い描いた姿に近づいているわけですから。でもやっぱり、実際に目の前に1000万円が来たら、震えたッスね(笑)。」

――「なりたい自分」というのは、具体的にどんなイメージですか?

「理想の姿には天井がないですね。いろんな人にもっと僕のことを知ってもらいたいですし、もっとテレビも出たいですし。2年後には僕、バラエティー番組とかにもたくさん出てると思うんです。そういう欲には限界がないですね。もっとええ車に乗りたいし、ええ女連れて、ええもん身につけて、ええパーティーしたいし…限界がないッス」

本当は、戦いたくないんです

――試合前にはすごくハードな練習もしているでしょうが、「辛い」とか、「怖い」と思うことはないんですか?

「ないですねえ。そういうのは、一切ないッス。でも、できることなら戦いたくないんですよ。別に好きで格闘技を始めたわけじゃないですから」

――意外ですね! マクレガーは「人をぶん殴って金が儲けれるなんて、最高のビジネスだ!」と言ってますけど、夜叉坊選手は人を殴るのが好きじゃない?

「好きじゃないッスよ。『一番になりたい』と思って(格闘技を)始めたわけでもないですし。『自分の強さを試すため』とかいうわけでもないし。『絶対、格闘技!』みたいなのは、ないッスね」

――むしろ、「有名になりたい」「モテたい」が一番?

「そうッス! そうなるための手段として格闘技の舞台に上がってきただけなんで。格闘技のこと、全然知らないし。だから怖くはないですけど、嫌ですよ、試合は」

――殴るのも、イヤ?

「嫌ッス。殴られるのも好きじゃないんで。極力殴られへんようにやってますね。だから僕の試合はけっこうジャブが多いんです。ジャブや蹴りを当てて、相手がイライラしてガーッと前に来たところを倒す。相手の打撃をもらわんことを優先してるんです」

【PHOTO】gettyimages

亡き父のことをいまでも

――今回も入場曲はSpinna B-illの『ライオンの子』でした。あれを聞きながら入場するときは、やはりお父さんのことを考えている?

(夜叉坊が中学3年生の時、父がこの曲をどこかで聞いて気に入り、サビの部分を携帯に録音して、誰が歌っている曲なのか、知り合いに聞き続けていた。ある日、親戚の女性がそのCDを見つけて、夜叉坊に持ってきてくれた。その日、夜叉坊が「おとんに早く聞かせてあげたい」と父の帰りを待っていると、父は亡骸となって戻ってきた。父はその日、自殺したのだった。残された家族は、1日中その曲をかけ続けた、というエピソードを夜叉坊本人が明かしている。)

「はい、考えますね。いやもう、この曲が流れているときは、その人(父)のことしか考えてないです。試合のこと、関係なくなって。気づいたら、『よっしゃ、行ってこよう!』みたいになって」

――今回の試合後、日本に戻ってから徳之島のお父さんのお墓参りに行ってましたね。

「はい。タイミング的にも、4、5年ぶりくらいに(徳之島に)帰ってきたんですけど。いいタイミングやったんかな、と思って。今まで『墓参り、行ったろう』なんて考えたこともなかったんですけど。でもアメリカでいろんなことを経験する中で、『あ、おとんところ、墓参り行こう』とふと思って。そう思えるようになった自分にも、ちょっと感動してるんです。『ああ、俺も墓参り自分から行こう、と思えるようになったんや』って」

――それまでは複雑な思いがあって、お墓参りに行く気にもなれなかったんでしょうね…お墓の前ではお父さんと会話みたいなのをしているんですか?

「いや、そんなんは、ないですけど……バーッてお墓に酒をかけまくって(笑)。お酒好きだったんで。『いや~、俺の(試合)見とった? ヤバかったよ!』って話しかけたくらいですかね」

――お父さんも天国で見守ってくれているはずですよ。次の試合でKO勝ちすれば日本人選手初のUFC 3連続KO勝ちですね!

「それもまた、おいしい話題になるッスね!」

――でっかくなってください。日本の格闘界が夜叉坊選手の後をついていきますよ!

「『巻き込まれてください』って感じですね(笑)。とにかく僕はヤバいパーティーをしないとダメなんッス!(笑)」

――今日は面白すぎる話をたくさん、ありがとうございました。次は11月19日、北アイルランドのベルファストで、アルテム・ロボフ選手との一戦がおこなわれますね。鮮烈な勝利を期待しています!

「ありがとうございます!対戦相手はアイルランドの選手。完全アウェーですが、勝ちますよ。勝って、アイルランドの女性にもモテたら最高ッスよね。

この記事で初めて僕のことを知った人は、まずツイッターでもなんでもいいので、一度見てください。そしたら絶対試合も見たくなると思うんで。僕の試合は、超オモロイですよ!」