イクメン旅行作家が大公開! 初めての「子連れ海外旅行」成功の秘訣

この夏、どこにいく?
吉田 友和 プロフィール

ホテルは立地よりも快適性重視で

桃園空港から台北市内までは今のところ列車が走っておらず、バスやタクシーしか移動手段がない。子連れだし、大きな荷物もあるからタクシーだと楽チンだが、僕たちはあえてバスで行くことにした。

國光客運というバス会社は運賃が125元。タクシーだと1000〜1500元ぐらいと、およそ10倍もの料金がかかる。子どもの体調や機嫌次第だが、バスでもまったく問題ないので、節約するのはアリだろう。

台北へ来ると、いつも台北駅〜中山駅あたりに宿泊する。どこへ出るにも便利な立地で、宿の料金も比較的リーズナブルだからだ。今回も最初はこの界隈で宿探しをしたのだが、条件に合うホテルが見つからなかった。

ホテル選びでは、何を優先すべきかをハッキリさせるのがコツである。台北はアジアの都市の中ではホテル代が高めで、手頃な料金のホテルだと部屋が狭かったりする。日中は精力的に出歩いて、夜に寝に帰るだけであればそれでも構わないのだが、子連れだとそうもいかない。ホテルでの滞在時間が長そうなので、狭い部屋だと息が詰まる。

結局、地下鉄の駅からは少し遠くなるが、部屋が広く、施設もそこそこ豪華な4つ星ホテルに予約を入れた。これまでは立地重視だったが、部屋の快適性を優先させることにしたのだ。自分としては、これまたひとつの方針変更といえた。

事前にベビーベッドをリクエスト

ホテルの予約に関しては、いつも通り、予約サイト経由で行った。同じホテルでも宿泊日によって料金や空室状況が異なるので、都度比較検討すべきだ。もちろん、ポイントやクーポンなどもうまく活用する。この辺の作業は、子連れだろうがなんら変わりない。

これまでと違うのは、予約完了後にホテルにメールで連絡を入れたことである。ベビーベッドのリクエストをしてみたのだ。そもそもそういう対応が可能なのかどうか定かではなかったが、メールするだけならお金もかからない。希望があるのならダメ元でも伝えておいた方がいいだろう。すぐに返信が届き、手配しておいてくれるとのこと。言ってみるものである。

チェックインをして部屋に入ると、きちんとベビーベッドが用意されていた。ところが、実際にはほとんど使わなかった。わざわざ用意までしてもらって申し訳ないのだが、子どもは添い寝した方が安心するようで、結局親のベッドで一緒に寝たのだった。

事前にベビーベッドをリクエストしたら用意してくれた(撮影/著者)

欲張らずに目的を絞り込むべし

2泊3日の短期旅行だった。限られた日数だからと、ついスケジュールを詰め込みがちだが、これは失敗の元である。あれもこれもと欲張るのではなく、目的を絞り込む。これこそが短期旅行の極意だと思うのだが、子連れだとなおさらゆとりを持って行動したいところだ。

最低限これだけは達成したいというテーマをまずひとつ設定する。そうして幸いにも時間が余ったら、それ以外のやりたいことをフォローする。優先順位を付けるやり方は有効だ。

今回の台湾旅行では、夫婦各々がひとつずつ目的を掲げていた。僕がやりたかったのは、ズバリ変身写真だ。台湾旅行では昔からある定番アクティビティで、台北市内には観光客向けの写真館が何軒もある。もちろん、被写体は我が子である。異国の地で写真を撮ったらいい記念になるだろうなあという、親バカ的発想でトライしてみたのだ。

2000元で3枚の写真をアルバムにまとめてくれる、お手軽な体験コースを実施している写真館を見つけ、そこに申し込むことにした。まずは衣装を選び、撮影して、写真を選別する。日本の子ども向け写真館と流れはほぼ一緒だし、スタッフは片言ながらも日本語を話すのでスムーズにことが運ぶ。

悩ましいのは写真の選別だった。何十枚も撮った中から最終的に3枚を選ぶ。これが難航した。親バカ的思考だとは自覚するが、どれもいい写真に見えて、捨てがたいのだ。

PCの液晶画面の前で悩みまくっていると、ここぞとばかりにスタッフのお姉さんが営業をかけてくる。1枚500元で追加もできるとのこと。さらには、もし2枚を追加するなら画像データもタダで付けてくれるという。

さすがは台湾人、商売上手だなあと感心させられる。午前中に撮影を済ませたら、その日の夕方には仕上がるというので、短期旅行でも気兼ねなく利用できるのはうれしい。

台北の変身写真館で撮影した娘の写真

旅でも生活リズムをなるべく崩さずに

一方で、同行した妻の目的は買い物だった。永樂市場という布専門の市場で、手芸用の布を物色したいとのこと。

実は子どもの保育園グッズ(布団カバーや巾着など)を作るというミッションがあって、そのための素材を買い揃えなければならなかった。台湾なら素敵なデザインの布がありそうだし、料金も手頃だろうということで、狙いを定めていたのだ。

市場で買い物するなら、単身で行った方が身軽である。そこで、僕が子どもと一緒にホテルで留守番をすることになった。父親と子どもだけというパターンも日本では慣れっこだったからとくに懸念もしていなかったのだが、このとき予期せぬ事態が起きてしまった。

母親が外出した後、最初の1時間は何の問題もなかった。ホテルの部屋で親子2人で仲良く寛いでいたのだが——何の前触れもなく、突如として泣き始めてしまったのだ。父親(僕のことだけれど)は激しく狼狽した。何をしてもダメだった。オムツを替えても、哺乳瓶でミルクをあげても、持ってきたおもちゃを手当たり次第与えても、抱っこであやしても効果なし。

不甲斐ない父親は困り果てたのだ。終いには普段聞いたことのないようなギャン泣きになってしまった。いつもとは違う環境にいるせいもあるのだろうか。小さな子どもなりに、異国の地へ来て心細さを感じていたのかもしれない。急ぎ母親の携帯に連絡を取り、一刻も早く戻ってきて欲しいと懇願した。子どもは母親が戻ってくるまでえーん、えーんと泣き続け、僕は自分の無力さを呪ったのだった。

布問屋が多くある台北の永樂市場(撮影/著者の妻)

そんなこんなで無事帰国

とまあ若干の反省点はあったものの、台湾旅行は概ね問題なく進み、家族全員が健康のまま無事帰国を果たした。大人だけの旅と比べるとやはり気を遣う局面も多く、ドッと疲れたのが正直なところだが、同時に達成感のようなものを得られたのも確かだ。まあ、親の自己満足と言ってしまえばそれまでだが……。

もう少し大きくなって、子ども本人も色々と異文化を吸収できるようになったなら、またきっと違った旅になるのだろうなあと想像しつつ、密かに次の旅行計画を練っている。

吉田友和(よしだ・ともかず)
初海外=世界一周新婚旅行をきっかけに旅に目覚める。その後、会社員をしながら週末海外を繰り返していたら、いつの間にか旅行作家に。これまでに約90ヵ国を訪問。『サンデートラベラー!』(角川文庫)、『自分を探さない旅』(平凡社)、『10日もあれば世界一周』(光文社新書)、『旅はタイにはじまり、タイに終わる』(幻冬舎文庫)など旅の著書多数。
地図で見たときから決めてました! 旅人の血が滾るんです、縦断させてください! 北から南まで堪能するために鉄道と夜行バスを乗り継ぐ旅。予定は立てない。好きな町に留まり、ビールを飲む。チップをふっかけられて喧嘩もする。市場で爆買い、バイクに乗っけてくれたおっちゃんと飲んで、数百のランタンに囲まれ感激。ドタバタのベトナム移動旅!