9月4日、5日に中国浙江省の省都・杭州で行われたG20は、まさに習近平の習近平による習近平のためのビッグ・イベントだった。中国経済は失速中とはいえ、また南シナ海や東シナ海での海洋進出で周辺国に脅威を与えているとはいえ、世界第2の経済大国としての存在感を、存分に見せつけた大会だった。
まず、なぜ今回のG20を杭州で開催したかと言えば、習近平主席にとって、自分が浙江省党委書記(省トップ)を務めていた2002年から2007年が、黄金時代だったからである。習近平主席は2012年11月に共産党総書記に就いて以降、中南海(北京の最高幹部の職住地)に多くの浙江省時代の部下たちを呼び寄せており、中南海には浙江方言が飛び交っている。
そこで今回、自らの地盤である浙江省に世界のVIPたちを呼び寄せるとともに、今後北京で重責を担う浙江人脈の面々に経験を積ませ、かつ自らの偉大性を思い知らせようとしたのである。
さらに言うなら、杭州は、清朝で最も偉大な皇帝と言われる乾隆帝が、北京からわざわざ7回も訪れた都市であり、「現代の皇帝」を目指す習近平主席としては、あやかりたかったのかもしれない。実際、3日間にわたる習近平主席の挙措は、決して急がず焦らず大人風で、「現代の皇帝」を装っていた。