「貧困女子高生」バッシングの無知と恥〜「ニッポンの貧困」の真実

自分の価値観を振り回すな!
大西 連 プロフィール

「貧困」を語るときに注意すべきこと

2013年に「子どもの貧困対策の推進に関する法律」が全会一致で成立した。与野党を超えてすべての国会議員が賛成し、(まだ不十分な点もあるものの)子どもの貧困対策に向けた官民の取り組みや制度も少しずつだが整いつつある。

今回のNHKの番組のように「貧困」をめぐる報道は難しく、時に誤解や偏見のまなざしに晒されることもある。しかし、その背景にある問題は何かを考えることはとても重要なことだ。

「この人は○○だから困っている」「あの人は××だから困っていない」という比べ合いやレッテル張りは、問題の解決につながるどころか、正直に言ってあまり意味がない。「貧困」である人がいくらのランチを食べていたら納得できるか、という議論は不毛だ。

あたりまえだが、相対的貧困下にあっても、映画を観に行ったり、スポーツをしたり、恋人とデートしたりすることができる。もちろん、経済的な制約があるなかで、ではあるが……。

一場面を切り取って、個々人の発言や行動の一部をみて、評価をし、自分の価値観を押し付けて「貧困」を語るのは、もうやめにしたほうがいいのではないか。日本の「貧困」のレベルは客観的な政府の統計をみても先進国でも最低のレベルで、自己責任と言えず政策で対応しなければならない重要なテーマとなっているのだ。

数字やエビデンスに基づかない安易な「貧困」についての議論はもう十分だ。したり顔で貧困バッシングをしている人がいたら、ぜひ、こう伝えてほしい。

「日本の貧困率っていくつか知ってる? そういう無知によるバッシングは恥ずかしいよ」と。

大西連(おおにし・れん)
1987年東京生まれ。認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやい理事長。新宿ごはんプラス共同代表。生活困窮者への相談支援活動に携わりながら、日本国内の貧困問題、生活保護や社会保障制度について、現場からの声を発信、政策提言している。著書に『すぐそばにある「貧困」』(ポプラ社)。Twitter:@ohnishiren