「貧困女子高生」バッシングの無知と恥〜「ニッポンの貧困」の真実

自分の価値観を振り回すな!
大西 連 プロフィール

6人に1人が貧困ライン以下

そして、日本の「相対的貧困率」は、16.1%であり、近年、上昇を続けている。(2012年厚労省「国民生活基礎調査」)

日本の貧困ライン(2012年時点)は単身で122万円/年(等価可処分所得)であり、月に約10万円しか使える所得がない状態。2人世帯だと173万円/年(月に14.4万円)、3人世帯だと211万円/年(月に17.6万円)、4人世帯だと244万円/年(月に20万円)という数字になる。日本では、この水準以下の生活をしている人が6人に1人いるのだ。

「貧困」と聞くと、収入がなくなってしまうことや働けない状態をイメージしがちだが、日本(や先進諸国)で一般的に「貧困」と言う場合は、たとえば、働いているが非正規労働で低所得である、家族の介護やケアがありフルタイムで働けない(離職した)、低年金で生活を維持するのが大変……などのさまざまな背景や事情を抱え、所得が低い状態で生活している人たちのことを指す。

さらに、子どもの貧困率は16.3%、シングルペアレント(母子・父子家庭)の貧困率は54.6%と、非常に高い数字となっている。

図1を見ていただければわかるように、日本の「相対的貧困率」は1980年代後半から右肩上がりに上昇を続け、貧困ラインは1997年をピークに下降を続けている。

図1:厚生労働省国民生活基礎調査より筆者作成

特に1997年と比べると、名目値(実際の金額)で149万円から122万円と大幅に減少している。これは、等価可処分所得の中央値が、298万円から244万円と約50万円も下落していることを意味し、実質値(1985年を基準として物価等の上下を勘案して算出した値)で見ても、130万円から111万円、等価化可処分所得の中央値は260万円から222万円と約40万円もの大幅な下落を記録している。

貧困率の基準となる貧困ラインの金額が下落しているのに、貧困率が上がっている。つまり、相対的な基準ではなく、一定金額の基準に貧困層を設定した場合に、貧困層は貧困率以上により増加し、かつ拡大を続けている、と言えるのだ。

そして、この16.1%という貧困率は、先進諸国が加盟するOECDの32ヵ国中、下から6番目という非常に悪い数字なのである。

図2:OECD2009年データより筆者作成

6人に1人が「貧困」という日本の状況は非常に深刻なものだ。

そして、同調査(2012年厚労省国民生活基礎調査)によれば、全世帯の平均貯蓄額が1047万円である一方で、貯蓄額が100万円未満である人が24.8%(貯蓄なしは16%)おり、日々の暮らしは何とかなっても、将来の不安や、病気や失業などのリスクへの耐性が低くならざるを得ない状況に置かれた人が増加していることが理解できる。