東武グループのロゴを開発したときのことをご紹介しましょう。
東武グループでは、東京スカイツリー(R)を中心とした業平橋押上地区開発事業の進展に伴い、グループとしての知名度が国内外において高まりつつある状況で、グループとしてのブランドを強くアピールし、さらにグループとしての一体感を高め、ブランド価値向上につなげていくことが求められていました。そこで、東武グループの価値をさらに向上させるためにグループ全体で統一されたロゴを開発することになりました。
ロゴ開発にあたっては、多くの社員が納得するものを作ることが求められ、そのために社員を巻き込んだプロジェクトを実施しました。
プロジェクトメンバーと一緒に、度重なる議論で方向性を明確にしたあと、約1500案のデザインスケッチを作りました。
そして、そのデザイン案を会議室の壁に張り出して、さまざまな部門の社員の方にそれぞれ付箋を渡し、気に入ったロゴに付箋をつけてもらい、絞り込んでいったのです。ここで1500案から32案まで絞りました。
その32案をさらにデザインとして精緻化し、今度は8案まで絞り込みました。
大事なのは、このときにプロジェクトメンバーで検討した方向性(コンセプト)をもとに選んでいくことです。デザインを選ぶ基準を先に伝えておかないと、ただの「好き」「嫌い」でデザインを判断することになってしまうからです。それではせっかくの「想い」が反映できません。
その後、会社上層部の判断を仰ぎ8案を4案に、4案を3案にと絞り込みながら、最終案を決めました。
8案から最終的に1案に絞る段階でもやはり、ここまでの選考プロセスを写真などでお見せし、多くの人の「想い」が反映されたデザイン候補案だということをお伝えしました。それをすることで、誰もが、いまある8案や4案といった少ない候補の中から選ぶことに納得してくれるのです。
このような社員を巻き込んだ「プロセス」を大切にして、会社全体で選び抜いたものであるからこそ、最終的にみんなが納得できるロゴになるのです。