参院選で露呈した「若者に無責任な政治」のリアル

問われるべきは「大人」たちの態度だ
後藤 和智 プロフィール

「選挙に行かないから若者が不幸になる」?

ここまで見たとおり、我が国の「若者と政治」をめぐる言説は、若い世代の「政治的無関心」を嘆くのと、「新しさ」に過剰に反応して持ち上げ、消費するという動きが並行して進んできました。

そのような流れの中で、我が国の政治言説において、若い世代の問題が大人たちの問題とは「切り離された」ものであるという認識が強められていったのではないかと思います。

それを象徴するのが、「若い世代が選挙に行かないから若者が不幸になる」といった類の言説です。ネット上で有名なあるツイッタラーは、若い世代における過酷な労働環境の進行と、若い世代の投票率の低さを並べて、「これが若者が選挙に行かないから起こった結果なのだ」という言説を展開しました。そしてそれは、7000以上のリツイートをもって拡散されています(2016年8月16日確認)。

〈 出産・育児環境の整備やブラック企業取り締まり、最低賃金引き上げといった政策がいつまでたっても進まない根拠画像をあげとくね。これが50%超えれば一気に変わるよ。間違いなく。5

残念ながら、これは若者バッシングの論理、若い世代をバッシングする上で持ち出される「自己責任」の論理とまったく変わるところはありません。この短文の中には、いくつもの根拠に基づかない幻想が含まれています。

第一に、若い世代における投票率の低さを《出産・育児環境の整備やブラック企業取り締まり、最低賃金引き上げといった政策がいつまでたっても進まない根拠》としていますが、出産や育児環境の整備、若い世代に過酷な労働を強いる企業の取り締まりという問題は「若者」のための政策であり、上の世代とは敵対するものだというものです。

しかし若い世代の労働環境の悪化は、上の世代にとっても決して無視できない問題のはずです。

第二に、これを《根拠》とする客観的根拠が不明瞭です。このような認識も、恐らく若い世代と上の世代が敵対するものだという考えから来ているものでしょう。

第三に、《これが50%超えれば一気に変わるよ。間違いなく》と言っていますが、これも根拠がありません。若い世代に投票を促すための方便だとしても、このような「お前らのせいで社会が悪くなったのだ、責任を取れ」という物言いでは、むしろ若い世代の反発を生むだけではないでしょうか。