偏差値78のAV男優が見つけた答え「セックスとは孤独の克服である」

森林原人×二村ヒトシ【第3回】

二村: 話はちょっと変わりますが、人間には三大欲求があるとよく言われますね。

森林: 食欲、睡眠欲、性欲ですね。

二村: と、一般に思われているけれど、作家の中沢健さんが面白いことを書いています。人間にあるのは、食欲と睡眠欲と「大切にされたい欲」だと。性欲だと言ってごまかしているけれど、本当は、みんな他者から大切にされたいのだと中沢さんは『初恋芸人』(小学館ガガガ文庫)という小説に書いている。

これは慧眼だなと思いました。確かに、人間はセックスそのものがしたいのではなくて、誰かから大切にされたいだけなのかもしれません。

森林: 孤独を克服できる幸せなセックスがあることを知ってほしい、というのが今回の本で一番伝えたかったところです。

それだけが正解ではないだろうし、それだけを目指すべきでもないでしょうが、幸せなセックスも存在するのだと知っておく。幸せは他の人と比べるものではなく、自分の中で決まることだから、セックスの回数やイッたかどうかみたいなエクスタシー論から解放され、セックスから逃げたり、セックスに囚われたりしなくなるのではないかと思います。

二村: 「それだけが正解ではない」と森林君は謙虚に言うけれど、僕は正解だと言い切っていいと思いますね。セックスとは孤独の克服である。この言葉は世の中にどんどん広めるべきです。僕もこれから大いに使わせていただきます(笑)。

それが正解ならば、すればするほど淋しくなったり空しくなったりするセックスを繰り返している自傷的な、あるいは自分本位な人々は、やはりセックスというものを間違えて捉えています。

セックスとは「互いの弱みを見せ合うこと」

二村: セックスは自分を愛してもらうことであり、自分が大切にされることであり、孤独をたとえ一瞬だけでも忘れられる行為だ――。そう考えたら、するなら真摯にセックスをすべきだし、人生において一回くらいはそれにハマってもいいのかもしれない。セックスにハマッた経験があるかどうかで、生きていくのに必要なタフさが違ってくるかもしれない。

森林: 一回でいいんです。一回でいいから幸せなセックスを経験しておくべきです。

二村: ただ、そういう声が誰にでも届くとは限らないんですよね。セックスの意欲を失っている男性、もしくは意欲はあるけれどモテないからひねくれて「女なんていらない」と言っている男性に、「セックスはいいものだよ」「そこに孤独を克服できる手掛りがあるよ」と呼びかけても、届かない。

森林: 届かないですよね。