SMAP解散と天皇「生前退位」の見えないつながり〜歌は世につれ、世は歌につれ

彼らはこうして時代の"象徴"になった
中川 右介 プロフィール

キムタクの快進撃

2016年の現在、「視聴率が低い」ことでしか話題にならなくなってしまった、フジテレビの月曜9時のドラマ枠、通称「月9」を中心に、SMAPが、なかでも木村拓哉がいかにしてナンバーワンの俳優になっていったかを見ていく。

「月9」がドラマ枠となったのは1987年4月からだが、人気ドラマ枠として確立されたのは1991年1月期の「東京ラブストーリー」である。最高視聴率32.3%を記録した。

では、それまでの最高視聴率記録は何だったというと、田原俊彦主演「教師びんびん物語Ⅱ」の31.0%だった。「東京ラブストーリー」は平均視聴率は22.9%で、「教師びんびん」は26.0%なので、平均では田原の主演ドラマのほうが上だった。

それくらい、田原俊彦は人気があったのだ。

SMAPのメンバーで最初に「月9」に出演したのは、中居正広と稲垣吾郎で、91年4月期の浅野ゆう子主演の学園ドラマ「学校へ行こう!」で生徒役として出た。次に稲垣吾郎は92年10月期の「二十歳の約束」に出演し、主演の牧瀬里穂に次ぐ主役級の役を得た。

木村が「月9」に初出演するのは、その後、93年10月の「あすなろ白書」だった。その前から木村は単発ドラマでは主演するようになっており、人気枠への満を持しての登場だった。

木村の役は主要登場人物5人のひとりではあるが、主演ではなかった。主人公は石田ひかりと筒井道隆だった。しかし、このドラマで木村は二番手の役だったのに、筒井を凌ぐ人気が出た。木村が石田ひかりをうしろから抱きしめるシーンでの抱き方は、「あすなろ抱き」と呼ばれた。

ドラマそのものも、最高視聴率31.9%を取り、これは「月9」の最高記録ではなかったが、平均視聴率27.0%は新記録だった。

1993年は皇太子ご成婚の年だ。こじつけだと言われるかもしれないが、SMAPが第一線に踊り出た時期と平成の皇室がかたちを整えたのとは同時期なのだ。

そして94年12月、雑誌「アンアン」の「カッコいい男ランキング」で木村は1位を獲得した。2位以下10位までは、織田裕二、本木雅弘、豊川悦司、荻原聖人、唐沢寿明、永瀬正敏、福山雅治、 藤井フミヤ、稲垣吾郎となる。SMAPからは稲垣以外のメンバーは入っていない。それくらい、木村人気は突出していた。

半年前の5月の同誌の「好きな男ランキング」では永瀬が1位で木村は5位だったので、半年で急上昇したのだ。そして翌年の「好きな男ランキング」で1位となると、以後2008年まで首位を守る。