PC、ネットに続く第3のIT革命「ブロックチェーン」とは何か

数ある「フィンテック」の中でも別格
池田 純一 プロフィール

秘められた暴力性

実際、ビットコイン/ブロックチェーンは、P2P(peer-to-peer)型サービスとして、徹底的に第三者の介在を排し、当事者だけのやり取りだけで完結させようとする、ラディカルな部分をもつ。

その点で、ビットコイン/ブロックチェーンは、90年代初頭のインターネット誕生期にまで遡れる、いわゆる「サイファーパンク」の流れをくんでいる。ある意味でWikiLeaksなどと同根なのである(たとえばジュリアン・アサンジ『サイファーパンク』)。

「サイファー」とは「暗号」のことであり、もともとはインターネット上でのコミュニケーションを徹底的に当事者間だけに限られた「私秘的」なものに止めようとするためのものであった。

インターネットの「向こう」という遠隔地にいるはずの相手に対しても、今ここで対面で語り合っているような私秘的なコミュニケーションを実現することを企図していた。だからこその暗号であり、それゆえプライバシーや盗聴・傍受といったテーマには敏感に反応する。

そうした直接的な交信の実現が、サイファーパンクに賛同する開発者を駆動していた。P2Pにはこうした苛烈な交信欲望が背後にある。

そして、そのような意図を破壊的イノベーションとして結実させることで社会的正当性を得ようとする、ある種の暴力性が、アンドリーセンのような起業家を経た(純粋に金融家ではない)ベンチャーキャピタリストには、時折、見え隠れする。少しばかり露悪的なウィンウィンなのだ。

日本における隆盛のゆくえ

ところで、このようにフィンテックやビットコイン/ブロックチェーンのアメリカにおける開発動機に触れてくると、はたしてそのような動機を足下の日本のブームで共有できるのだろうか、という疑問が生まれてくる。

震源地アメリカほどにはリーマン・ショックが個人の生活を直撃することはなかったため、アメリカのようなグラスルーツの動機は薄い。その一方で、アンドリーセンたちのように、今の金融産業を破壊してその上に君臨すればよいという敵対的な発想は、当の金融業界から生じるとは想像しにくい。

私見では、フィンテックの日本における興隆は、アメリカというよりもイギリスの動向に影響されているのではないかと思える。

というのも、イギリスは、ビットコインを広く世界中に知らしめた2013年のキプロス危機を受けて、即座にイギリス政府やイングランド銀行、そしてシティの銀行家の間で、ビットコインを含む「デジタルカレンシー」に対してどう対処するか、議論を重ねてきているからだ。