取材・構成:横田由美子(ジャーナリスト)
かつてYKK(山崎拓、加藤紘一、小泉純一郎)は自民党の主流派に敢然と反抗し、ついには小泉純一郎が「ぶっ壊す」に至った。「理性と野性」を兼ね備えた政治家が、常に時代を動かしてゆく。「彼」にその資質はあるのだろうか。
〈「橋本に勝てないことはわかっているが、必ず立つ。清和会は森さんを含め全員賛成してくれている。負ければ一人でも党を割る。もしYKK3人で離党すれば、自民党は終わりになる。その時は新党を結成しよう。自民党は参院選に大敗し、年内総選挙に追い込まれるよ」
加藤は、小泉の言葉に乗り、
「新党結成資金は僕が作る」
と息巻いたが、私の意見は少し違っていた。
「負けると決まっているわけではない。勝てるような気がする。国民が味方するよ」
と小泉の背中を押した〉
—山崎拓、加藤紘一、小泉純一郎の「YKK」トリオを軸に、激動の時代を振り返った『YKK秘録』(講談社)。「加藤の乱」の失敗を逆手に取り、ついに小泉氏が総理の座へと上り詰めます。
かつての自民党はYKKのように、政権と対峙する勢力が存在しましたが、最近はそうしたことが少なくなっています。
今の自民党には、いわば「トラ」がいないのです。虎は動物分類学的にはネコ科になりますが、ただのネコのような議員ばかりになってしまった。