いつまで高校球児の"肩"を酷使し続けるのか? 元大リーガーが斬る「甲子園」の大問題

「志願の連投」は美談じゃない!
長谷川 滋利 プロフィール

日米で大きく違うこと

よく高校野球の関係者から質問を受けます。

「アメリカには甲子園のような全米一を決めるハイスクール・トーナメントはあるの?」

これはノーです。ありません。僕の住んでいるカルフォルニア州の例では、州を南北に分けて、南カルフォルニアの優勝校を決めるだけですね。

国土が広いという理由もありますが、アメリカのスポーツは総じて「10代は育成期間」という共通認識があります。保護者もファンも南カルフォルニアのチャンピオンチームに対して「ナイスゲーム。君をプロで観るのを楽しみにしているよ」みたいな声の掛け方をします。

そういう土壌ですから、高校で完成される選手などほぼ皆無です。甲子園を観ているとサインプレーも複雑だし、プロ顔負けの変化球を持っているピッチャーも多い。完成度という点では素晴らしいものがあります。実際に甲子園の後に高校選抜がアメリカ遠征する日米野球でも、日本の野球は完成度は高く緻密ですね。結果もついてくることが多いです。

しかし、アメリカのチームや選手は、この年代での結果をまったく気にしません。具体的にメジャーの舞台に立つ選手は早くて20代前半、多くの選手は20代半ばから最高峰の野球に挑戦します。

日本ではよく「高卒ルーキー20年ぶりの2ケタ勝利」とか聞きますが、そんなことはメジャーではまずありません。伸びそうな若い才能を発見して、彼らをルーキーリーグからシングルA、ダブルA……と、それぞれのカテゴリーを経験させながら並行して身体を作り、メジャーで10年20年、戦い続けることのできる選手として育てるわけです。

逆に言うとルーキーイヤーで完成している選手なんているわけがないし、10代でメジャーで戦えてはいけない。まだ身体が成熟していないのに、ハイパフォーマンスをするわけですから、絶対にどこかでひずみやゆがみに襲われます。そのあたりの成長曲線の認識が現状の日米では大きく違うのは事実ですね。