自民党の「情報参謀を務めた男」が、都知事選「ネットの最終情勢」を徹底分析!

ネットは「勝者」を知っている?③
小口 日出彦

「誰でもいいや」になっている!?

今回、ルグランの泉社長にはネット口コミをブログとツイッターに分けて分析していただいた。一般にブログはある程度考えた結果がテキストに反映していると言われており、一方ツイッターは、反射的・衝動的な発言が多いとされている。

先に示した都知事選期間前半と後半の比較では、ツイッターに顕著な減少傾向が見られた。小池氏は前半のツイッター口コミ量に対して後半は40.2%減少。鳥越氏もほぼ同水準の38.8%減少。増田氏は22.8%の減少だった。

私は、これと同様のクチコミ数減少トレンドを2回経験している。一度は2011年に、当時の民主党・菅総理が「支持率1%でも辞めない」と政権維持にしがみついたとき。もう一度は2012年に同・野田総理が「近いうち」と言いながら解散を引き伸ばしたとき。どちらのときも数10日の単位で政治に関するネットアクティビティが右肩下がりになる大規模な変化が起こった。

こういう時は情報の伝搬力自体が小さくなるので、爆発的な人気上昇も下落も起こりにくくなる。したがって、ネットに書き込まれたテキストの内容を分析して「ほめているのか/けなしているのか」「評価しているのか/批判しているのか」で評判分析してもなかなか明白な結果は出にくくなる。

それでも、毎日の書き込みについて評判分析をしたトレンドチャートを作ってみると、一定の傾向が見えてきた。ネットチャート2をもういちどごらんいただきたい。

このチャートは、ホットリンク社のツール「クチコミ@係長」の、ネット口コミを「ポジティブ(良い)」「ニュートラル(ふつう)」「ネガティブ(悪い)」に分類する機能を使って抽出したデータからニュートラルな書き込みを除き、『ポジティブもしくはネガティブな内容と分類された書込数の合計を100として、それに対するポジティブな書込数の割合を指数化した値』を折れ線グラフに表現したものだ。

注意してみると、小池、鳥越両氏の評判は、もつれ合うようにしながら、選挙戦終盤に向かって徐々に下がっている。増田氏の線は、相対的には前二者の上にクビをもたげるように立ち上がっているが、それでもやっぱり下がっていく。やはり有権者の「まあ…どの候補にしてもなあ…」といった気持ちが表れているように見えないか…。

ネットチャート3(↑のチャート)は、ツイッター上の評判を分析したものだ。ツイッターについてもブログの書き込みとほぼ同じ傾向が表れた。

選挙戦終盤の28日木曜夜にはニコニコ動画で「全候補者演説会(全候補者に出演要請したが全候補者は出ていない。主要3候補は出た)」が開かれ、4時間の生放送で6万5000弱の視聴者を得た。この演説の模様を含む都議選の終盤状況が翌日の朝のテレビニュースに反映し、29日金曜朝は、都知事選報道は約1週間ぶりに報道量トップに返り咲いた。

とは言うものの、2位の相模原事件のトピックとほぼ変わらない報道量であり突出したトップではない。ニコニコ動画の視聴数は、平時の国会の本会議のナマ中継並みくらいの水準で、多いとも少ないとも言えない微妙なレベルだ。

都知事選第2週末(7月23日-24日)に大手メディアなどが実施した都知事選世論調査の結果もバラついていた。ある社の調査ではトップ候補者と2位候補者の得票数に10:6もの差がついているかと思うと、別の組織の調査では、10:9くらいに迫っているといった具合だった。

おそらく調査対象の母集団がちょっと違った結果なのだと思うが、このブレは大きい。しかも、このときの調査に答えた有権者が、現時点でも都知事選に対して同じ強さの関心や投票意思を持ち続けているかどうか、わずか1週間しかたっていないけれども、疑わしい。

さて、いよいよ明日は投票日だが、このような情報傾向が実際の投票活動にどのように反映されるのだろうか。「投票前日の、最後の時刻まで自分に投票してくれるよう訴える」――その熱は、もはや直接伝搬する地上戦でしか伝わらない。人気なのか、意志力なのか、組織力なのか、それらの総合力なのか――。とにかく、最後まで目が離せない戦いになることは間違いないだろう。