日本人女性の国民病「バセドウ病」「橋本病」の恐怖〜もし妻がなったら、この薬と手術はやめたほうがいい

副作用で心不全のリスクも
週刊現代 プロフィール

無顆粒球症が怖いのは、自覚症状が出にくいことだ。何の前触れもなく、気づくといきなり40℃近い高熱が出たり、敗血症など命に関わる症状を引き起こしたりすることがある。医療ジャーナリストが言う。

「私が知っている30代の女性のケースでは、投与が始まって1ヵ月ほどしてから、突然39℃もの熱が出て、メルカゾールの副作用だったことがありました。『風邪かな』『ちょっと体調が悪いな』と思って症状を放置していると、命の危険もある」

このほか、若い女性にとって大きな脅威となるのが、メルカゾールの出産への影響だ。母胎に異常をきたす「催奇形性」というリスクがある。前出の漢方薬局の責任者が言う。

「ここ5~6年のことですが、胎盤に異常が発生するなど、メルカゾールが妊娠に悪影響を与える可能性があることが指摘されはじめたのです。妊娠中の方は、服用に慎重になるようにと注意喚起されています」

専門医がほとんどいない

さらに、一般的な生活習慣病などの薬と異なり、抗甲状腺薬には、特殊な事情がある。専門医が少なく、適切な処方をできる医師があまりいないのだ。つまり、薬そのものの副作用に加えて、医師の「処方の仕方」にも注意を払わなければならない。前出の坂本氏が解説する。

「甲状腺の薬については、適切に処方できる医師が大学病院や、数少ない専門の一般病院に、ごくわずかにいるだけです。そのことが『問題のある薬の処方』につながる可能性があります。

たとえば、地方から大学病院にやってきた患者さんが、専門医にメルカゾールを出されたとします。じきに患者さんは地元に戻り、開業医、一般病院の医師に診てもらうことになる。

本来ならそこで、甲状腺の様子を細かく診ながら、薬の量を調整する必要があります。しかし、専門外の医師は『専門の先生が一度処方した薬だから大丈夫だろう』と、そのままの量を漫然と出し続けることがあるのです」

メルカゾールはホルモンの分泌を抑制する薬だ。すでに薬が効き、十分にホルモンの量が抑えられているのに、薬を使い続けると、今度はホルモンの量が過少になる。

「ホルモンが過少になると、体全体の機能が低下し、場合によっては、心不全で病院に担ぎ込まれることも起こり得ます。

薬が効いて、ホルモン量が十分に低下するまでの時間は人によってバラバラ。2~3年かかる人もいれば20年かかる人もいます。本当はそうした個々人に合わせた薬の量の調整が必要なのですが、なかなかそれが難しい。よく医師とコミュニケーションを取って、自分がどんな薬を使っているのかを知る必要があります」(坂本氏)

橋本病の治療には、チラージンという、ホルモンを補充する薬が使われる。これを、ホルモン量が増えていることに気づかずに使い続けると、不整脈などを引き起こす可能性がある。