「恋愛工学」男の欲望をすべて叶えるこのテクノロジーは、ここまで進化した

藤沢 数希

驚くべき影響力

注意深い自然の観察により天動説を導き出したことから、教会の反発を買い宗教裁判にかけられてしまったガリレオの例を持ち出すまでもなく、いつの時代も、社会の主流派にとって不都合な真実を暴き出す科学者たちは、異端と見なされ、迫害の対象となる。

たとえば、恋愛工学のスタティスティカル・アービトラージ戦略では、なるべく多数の女性に同時にアプローチすることが推奨される。こうすることによって、恋愛工学のユーザーは確率的な優位性のみならず、精神的な余裕をも手に入れることができ、恋愛というゲームで勝利することが可能となるのだ。

しかし、こうした恋愛工学の考え方は、一部の人たちから辛辣な批判を浴びせられてきた。我々がこれまでにどのような攻撃を受けてきたのかは、たとえば、コミックの原作となっている小説のAmazonレビューを見れば、一目瞭然だろう。

それでは、なぜ、この巨大なコミュニティが現在も存続し、そして、成長を続けることができているのだろうか。それは、我々のコミュニティは、いわばバーチャル国家とも呼ばれる組織であり、匿名を基本としたメンバーたちがひとつの理念でつながる、分散型のネットワーク構造をしているからだ。

メルマガが創刊されてしばらくすると、同志たちは、TwitterなどのSNSを使い、連携をはじめた。そして、いまや恋愛工学という共通言語を持ち、同じ理念に共感している同志たちが、日本のみならず、世界中に分散し、大規模なネットワークを形成しているのだ。

彼ら、彼女たちは、さかんに情報交換し、戦略を議論し、恋愛工学の各種テクノロジーの研究開発を精力的に行っている。そして、臨機応変にパーティーを組み、フィールドワークに繰り出しているのだ。

また、この恋愛工学研究所はいずれの国にも登記されておらず、物理的な実態を持たない。インターネット上の概念としてしか存在しないため、あらゆる社会の制約から完全に自由なバーチャル研究所なのである。

こうした組織なき組織は、外部からの攻撃に対して極めて堅牢なアーキテクチャーなのである。これこそが、我々のようなコミュニティが存続し続けることができている理由なのだ。

Twitterで検索すればすぐに気づくことだが、驚くことに、恋愛工学の発展に貢献してきた研究員たちは、匿名のまま、いまや並のテレビタレントを軽く凌駕するフォロワー数を獲得している。そして、新しく恋愛工学を学びはじめた多くの入門者たちに、多大な影響を与えているのだ。恋愛工学のエバンジェリストたちである。

世界各国で、私以外にも恋愛工学をリードする研究者たちが活動しており、数多くのサブ・コミュニティが生まれている。それらは、私自身もすべてを把握できないほどの広がりを見せているのだ。