「恋愛工学」男の欲望をすべて叶えるこのテクノロジーは、ここまで進化した

藤沢 数希

「恋愛工学」とはなにか

私はこの恋愛工学研究所の所長ではあるが、ある意味では、恋愛工学コミュニティのひとりのメンバーであり、一研究者に過ぎない。私自身も、私生活で困難な場面に直面したときなど、メルマガのバックナンバーを読み返し、勇気をもらっていたりするぐらいだ。

ヒエラルキーのない、極めてフラットな組織構造が、我々のコミュニティの特徴である。現在の恋愛工学は、万単位にまで成長したメルマガ購読者たちとの共同作業によってできあがったのだ。

ここで恋愛工学とはどのような学問なのかを簡単に振り返ろう。

今回発売される『ぼくは愛を証明しようと思う。』のコミックに登場する永沢氏の言葉を借りれば、それは「進化生物学や心理学の膨大な研究成果を基に、金融工学のフレームワークを使って、ナンパ理論を科学の域にまで高めたもの」である。また、ベースボールやサッカーなどのスポーツの戦術、ポーカーや麻雀などの賭け事の理論からも多くのインスピレーションを得ている。

発売されたばかりの、コミック版『ぼくは愛を証明しようと思う。』(amazonはこちらから)

このように、恋愛工学は、様々な学問の最先端の研究成果を取り入れながら、いまもなお急速に発展し続けている学際分野なのだ。そして、コンプライアンスも我々にとっては極めて重要なものとして位置づけている。恋愛工学コミュニティのメンバーは、法令遵守を徹底し、各国の法規制に従うことが首尾一貫して求められている。

しかし、恋愛工学を洗練された恋愛テクニックの集大成だと考えると、その本質を見誤ることになるだろう。おそらく、恋愛工学の価値は、この恋愛工学という共通言語を通してできあがった、コミュニティそのものにあるのだ。

そして、このようなコミュニティが存続し続けてきたのは、奇跡と言ってもいいことなのである。言い換えれば、我々のようなコミュニティは、常に差別と迫害の対象となりうるのであり、それを維持することは困難を極めるのである。

我々の理念や志は、現代の社会規範とは必ずしも整合していない。恋愛工学の考え方は、未来の社会では人々に受け入れられ、それが新たなスタンダードとなることを我々は確信しているが、それにはまだ時間がかかるだろう。